「オープンソースソフトウェア(OSS)においては、コミュニティの形成が重要な役割を果たす」。こう話すのは、韓国の電子通信研究院(ETRI)でインターネットサーバグループ ディレクターを務めるMyung-Joon Kim氏だ。同氏は、日本・中国・韓国の3カ国代表が集まった北東アジアOSS推進フォーラムにて、OSSコミュニティの重要性を語った。
Kim氏はまず、Ubuntu、openSUSE、Debian、FreeBSDなど、数々のLinux関連コミュニティを分析した結果を一覧表にして見せた。コミュニティには、ユーザーや開発者などさまざまな立場の人たちが参加しているが、「成功しているコミュニティには、バックにサポーターとなる企業がついている場合が多い」とKim氏は話す。また、最近では政府や地方自治体がOSS活性化のためにコミュニティのサポーターとなる場合もあるとしている。
コミュニティを分析する韓国ETRIのMyung-Joon Kim氏OSSコミュニティで問題となることについてKim氏は、「多くの人がOSSコミュニティと、そのOSSが基となった製品を混同することがあり、そこから誤解が生じて論争が起きることがある」と話す。コミュニティと製品を明確に区分すればいいというのがKim氏の考えだ。「原油に例えると、原油はコミュニティの資源。原油からガソリンを作るためには精製プロセスが必要でお金もかかる。しかし、精製するからこそガソリンや重油などの製品ができるのだ」(Kim氏)
次に、北東アジア地域に話の焦点を移したKim氏は、「われわれ北東アジアの3カ国は、CE Linuxを除き、今のところOSSの生産国というよりユーザーに過ぎず、国際的なコミュニティに貢献できることも少ない」と話す。その理由のひとつは、「アジアで開発力のあるデベロッパーは1カ所に集まっておらず、力を合わせることなくばらばらに活動していることにあるのではないか」とKim氏は指摘する。そこで、北東アジア独自のコミュニティを作ってはどうかというのだ。
「われわれ独自のコミュニティを作れば、さまざまなメリットがある」とKim氏。まずは、国際コミュニティはコミュニケーションの基本が英語だが、第2外国語として英語を学んだ者同士のアジア人であれば「言葉の間違いを気にすることもなく、国際コミュニティよりは負担の少ないコミュニケーションができるのではないか」とKim氏はいう。
また、北東アジアOSS推進フォーラムでは、開発を担当するワーキンググループと標準化を担当するワーキンググループが存在するが、「国際的なコミュニティでは、開発側と標準化担当がうまく協力できていないケースが多い。その点、北東アジアでコミュニティを作れば、標準化と開発面において、今の体制を維持するだけでも効率的に仕事が進む」とKim氏は指摘する。
Kim氏は、「コミュニティ内で活発に活動する開発者を育成することもできる。また、企業も新しいアイデアや技術を身近に入手できる」と、日中韓でのコミュニティを作るメリットを語る。その結果、「国際的なコミュニティにおいてもわれわれが十分貢献できる日がやってくるだろう」と述べた。
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