日本オラクルは1月29日、2007年のビジネス概況について説明会を開催した。冒頭で挨拶に立った日本オラクル 代表取締役社長の新宅正明氏は、2007年に注力する分野として、ソフトウェアのサービス化(SaaS)と、Linuxサポートの強化を挙げた。
「SaaSは、Siebel CRM On Demandを中心に再スタートする。Linuxについては、OSをサポート範囲の中に入れることで、顧客の期待に応えていきたい」(新宅氏)
日本オラクルは、2006年9月にSiebel CRM On Demandを発表している。このサービスについて同社 執行役員 アプリケーションマーケティング本部長の藤本寛氏は、「すでに受注もあり、現在年度末に向けて具体的な検討に入っている顧客も多い」と好調ぶりをアピールする。
Oracle 日本アプリケーションビジネス担当 シニアバイスプレジデント Dick Wolven氏も、「今の日本はパッケージビジネスの転換期だ」とし、SaaSの重要性を強調した。同時に、人材育成も重要課題だとして、「この1年で、パートナーと連携してオラクル認定インテグレーターを1000人育てるという『Project 1000』を実行する」と述べた。Wolven氏によると、同社はこの人数を2年間で2500人にまで拡大する予定だ。
オラクルでは、業界別のソリューションにも力を入れている。「現在日本のシステムは、70%が手作りのシステムだとされているが、そこに業界別のパッケージソリューションを提供することで、顧客の価値向上に貢献したい」と藤本氏。業界別のスペシャリストも積極的に採用しており、「業界特有の課題に合った製品を届ける」と藤本氏は述べた。
日本オラクル 取締役 システム事業担当 常務執行役員 保科実氏は、同社がデータベースベンダーからトータルソリューションベンダーへと移行しつつある点を強調した。「業務アプリケーションからミドルウェア、プラットフォームまで、さまざまな側面から提案ができるようになり、顧客も喜んでいる」と保科氏。今後は、データベースレイヤやアプリケーションレイヤのみならず、クライアントレイヤも統合する技術が出てくる予定だとしている。
オラクルはこれまでも、そしてこれからもLinuxサポートを強調してきたベンダーで、日本ではLinuxのディストリビューターであるミラクル・リナックスの筆頭株主ともなっている。一方、米国で発表した「Unbreakable Linux 2.0」は、Red Hat Linuxのサポートを意図したプログラムだ。Unbreakable Linux 2.0の国内展開については慎重な姿勢を崩さない日本オラクルだが、ミラクル・リナックスはもちろん、ソフトウェアをサービスの一部として提供するハードウェアベンダーも多いことから、こうしたパートナーとのすみ分けを考慮しつつ検討中だとしている。