IBMは米国時間9月18日、無償デスクトップアプリケーションスイートの「IBM Lotus Symphony」を発表した。これは、Microsoftの牙城であるデスクトップアプリケーションにIBMが挑戦することを意味する。
Lotus Symphonyはワードプロセッサソフト、表計算ソフト、プレゼンテーションソフトの3種類のアプリケーションで構成されている。これらは、IBMが「Lotus 8」の一部としてすでに販売しているものである。
この製品は「コミュニティーサポート」がついたベータ版で、IBMのウェブサイトから無償でダウンロードできる。IBMの幹部によると、同社はそのほかのサポートオプションも検討している。
Lotus Symphonyの名称は再利用されたものである。これは1990年代前半にLotusが提供していたデスクトップ表計算アプリケーションの名称だった。このリニューアルされたデスクトップソフトウェアを推進していくことで、IBMはMicrosoftのプロプライエタリなOffice製品ラインに対する「オープンな」代替製品を提供しようとしている。
Lotus Symphonyは「Eclipse」オープンソースフレームワークを基盤にしており、オープンソースデスクトップスイートである「OpenOffice」から派生した標準文書規格であるOpenDocument Format(ODF)をネイティブサポートしている。
Lotus SymphonyはMicrosoft Officeの文書も扱うことができ、Adobe PDF形式の文書も出力できる。ユーザーは既存のOffice文書からテンプレートを作成できるが、マクロやその他の高度な機能を含むOffice文書は正確にコンバートできないとIBMのFAQには記されている。
Lotus Symphonyは、WindowsとLinuxの両方で動作し、AppleのMac OSのサポートも計画されている。
「IBMは、Linuxによってエンタープライズコンピューティングをオープン化するのを支援したのとちょうど同じように、オフィスデスクトップ生産性アプリケーションのオープン化にも取り組んでいる」とIBMソフトウェアグループ担当シニアバイスプレジデントのSteve Mills氏は声明で語っている。
Mills氏とLotusのゼネラルマネージャーであるMike Rhodin氏は、18日にニューヨークで記者会見を開き、Lotus Symphonyを紹介する予定だ。
IBMは先週、OpenOffice.orgのオープンソースプロジェクトに参加して人材とコードを提供し、同プロジェクトの取り組みを支援すると述べたが、OpenOfficeを使用している企業顧客にサポートを提供する点に関しては明言を避けた。
他のビジネスアプリケーションとの統合が予定されているLotus Symphony製品は、操作のシンプルさを念頭に設計されている。この製品はエンドユーザーと企業ユーザーの両方を対象としている。
「もはやデスクトップで文書を作成するにとどまらない。どこでも情報にアクセスできるようにし、きわめて柔軟性のある方法であらゆるプラットフォームやウェブで情報を使用できるようにすることが狙いだ」とMills氏は声明で述べている。
IBMは何年もの間、Microsoftが支配してきた企業デスクトップソフトウェアの牙城を崩すための戦略を練ってきた。
IBMは「Workplace」と呼ばれるデスクトップソフトウェア戦略を立ち上げて「Lotus Notes Productivity Tools」の開発に取り組んできた。現在ではこうした蓄積がLotus Symphonyとして結実している。
IBMはまたEclipse「リッチクライアント」ソフトウェアにかなりの資金を投入してきた。これはEclipseがプラグインによって拡張可能であり、異なるデスクトップOSで動作するためである。
Lotus Symphonyは、単なるLotusコラボレーションおよび電子メールソフトウェアの一部ではなく、企業とともに消費者にも直接的に提供されるという点でIBMにとって新しい展開である。
技術的なレベルで見ると、Lotus Symphonyは「ファットクライアント」ソフトウェアである。これまでIBMは、サーバ管理型のデスクトップ生産性アプリケーションに力点を置いてきた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ