Microsoftは、Googleのウェブアプリケーション「Google Docs & Spreadsheets」への対抗策を発表した。これまで手がけていた事業が次々とオンライン化していく状況に、同社が脅威を感じていることを示す明らかな兆候の1つだ。
Microsoftは米国時間9月30日、「Office Live Workspace」を発表した。これは、Officeドキュメントをオンラインで閲覧、共有、保存できる(ただし、編集はできない)無料のオンラインツールだ(これまでの「Office Live」は「Office Live Small Business」に改称される)。といっても、まだ完全に準備が整ったというわけではない。2007年中に開始を予定しているベータテストプログラム参加の受け付けが、10月1日から始まるだけだ。
それでも、新サービスの開始は、競合する大手企業をMicrosoftが数年前にあらかた駆逐したはずの生産性ソフトウェア分野で、競争が激化しつつあることを示している。9月にオンラインのプレゼンテーションソフトウェアを追加したGoogleのほかにも、IBMが無料の生産性ソフトウェア「Lotus Symphony」を発表し、最初の1週間でダウンロード数が10万に達している。
一方、Adobeは10月1日、新興企業Virtual Ubiquityの買収を発表した。Virtual Ubiquityが開発した「Buzzword」は、Adobeの「Flash」および「Adobe Integrated Runtime」(AIR)技術を利用したウェブベースのワープロソフトウェアだ。Adobeはさらに、ウェブを通じて文書の共有と保存が可能になる「Share」(開発コード名)のベータサービスを提供開始したと発表した。
オンラインサービスと既存ソフトウェアの組み合わせ
MicrosoftにとってOffice Live Workspaceは、同社が喧伝する「software plus services(ソフトウェアとサービスの融合)」戦略における新たな一歩でもある。オンラインサービスはローカルで稼動するソフトウェアを補完するが、必ずしも消費者のデスクトップマシンや企業のサーバで稼動しているソフトウェアと完全に置き換わるものではない、というのが基本的な考え方だ。
ところが、Microsoftが従来のサーバソフトウェアをホスティング型のサービスとして丸ごと提供する例もある。同社は手始めに、電子メールとカレンダーの「Microsoft Exchange Online」、ポータルの「Microsoft Office SharePoint Online」、「Microsoft Office Communications Online」を提供開始した。こういったホスティング型のサービスの計画については、最高経営責任者(CEO)のSteve Ballmer氏を始め、同社の経営幹部たちが以前から口にしていた。