Adobe Systemsは米国時間2月25日、ついに「Adobe Integrated Runtime」(AIR)ソフトウェアの正式版をリリースした。Webアプリケーションの動作を、従来のデスクトップアプリケーションにより近づける取り組みにおいて、同社は最先端に立つことになる。
Adobeは同日、サンフランシスコで開催されたリッチインターネットアプリケーション(RIA)の設計をテーマとするイベント「Adobe Engage 2008」で、Windows版とMac OS版の「AIR 1.0」の無償ダウンロード配布を開始したと発表した。
The New York Timesは、AIRアプリケーション「ShifD」のベータ版をリリースした。これは、ウェブのリンク、メモ、オンライン地図といったさまざまなコンテンツを、デスクトップコンピュータからモバイル機器に移せるアプリケーションだ(写真は「iPhone」上でShifDを利用しているところ)。同日、Adobeはまた、アプリケーション開発ツール「Flex 3.0」をオープンソース化して無償で公開した。Adobeは、Flexアプリケーションとバックエンドのビジネスアプリケーションをつなぐ別の開発ツール「BlazeDS」についても、オープンソース化してリリースする予定だ。
現在Adobeの最高技術責任者(CTO)を務めるKevin Lynch氏は、2006年5月に初めてAIR(開発コード名「Apollo」)について公式に発言しているので、AdobeはAIRの開発に少なくとも2年を費やしてきたことになる。Adobeは、画像編集ツール「Photoshop Express」や動画編集ツール「Premier Express」を含む多数のWebアプリケーションのAIRバージョンを開発する計画だと、Lynch氏は述べた。
AIRは、Webアプリケーションをデスクトッププログラムのように扱えるようにするソフトウェアだ。AIRを使用すると、アプリケーションをオフラインで実行でき、ブラウザを使わずに、ハードディスク上のデータにアクセスしたり、デスクトップにアイコンを置いたりできる。
開発者は、AjaxフレームワークなどのさまざまなWeb開発キットを使って、あるいはFlexを使って、AIR上で動作するアプリケーションを記述できる。
こうしたWebネイティブのデスクトップアプリケーションは、ソフトウェア開発において活発な分野になってきた。Adobeによると、現在100を超えるAIRアプリケーションがあるという。そして、AIRの代替手段も姿を現しつつある。
ウェブブラウザ「Firefox」を送り出したMozilla Foundationは、Webアプリケーションのオフライン利用を可能にすることを目指すプロジェクト「Prism」を立ち上げた。
Lynch氏は、Prismが提供するものよりAIRの方がはるかに進んでいると話す一方で、ウェブとデスクトップの橋渡しをするプラットフォームは数多く出現するだろうと予想する。
「われわれは今、ウェブへ移行した時に置き忘れたデスクトップの宝物を取り戻している段階だ」とLynch氏は語る。
Lynch氏によると、AIRは、MicrosoftのWindowsや他のOSと競合する存在ではなく、OSの上のレイヤとして、利用者がWeb開発のテクニックやツールキットを使えるようにするものだという。
Linux版のAIRは、2008年中にリリースされる見込みだと、Lynch氏は述べた。また、Adobeは将来、モバイル機器上で動作するバージョンを開発する予定だ。
Salesforce.comは2月25日、無料のツールキットをリリースした。開発者はこのツールキットにより、同社のホスティング型開発プラットフォーム「Force.com」上で、FlexとAIRを使ってアプリケーションを記述できるようになる。Salesforce.comの開発者マーケティング担当バイスプレジデントを務めるAdam Gross氏によると、Webアプリケーションのオフライン利用をけん引する大きな力となっているのは、モバイルの普及だという。
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