Adobe Systemsの最高経営責任者(CEO)Shantanu Narayen氏が、同社の「Flash Player」 をAppleの「iPhone」に搭載することを目指す意向を明らかにした。
Narayen氏は、Adobeの2008年第1四半期決算を発表するために米国時間3月18日に開いた電話会議の中で、AdobeはFlashアプリケーションがiPhoneでも動作できるようにするため、「Appleと提携していく」と語った。
Seeking Alphaがこの電話会議の模様を伝えている。Narayen氏のiPhoneについてのコメントは、Flashを他のデバイスに移植することについての質問への回答の中で述べたもの(Microsoftは今週に入り、Flashアプリケーションを「Windows Mobile」デバイスで動作させるため、Adobeと「Flash Lite」のライセンス契約を結んだことを発表している)。
Seeking Alphaが伝えたNarayen氏のコメントは以下の通り。
「Flashがインターネットと同義語であると皆が思っている。率直に言って、ウェブを使用し、そのすごさを体験するには、誰もがFlashを使用しなくてはならない」
「FlashアプリケーションをWindows Mobileデバイスで採用するという発表、そして現段階でこれらNon-PCデバイスの出荷台数が5億台に達している事実に、われわれは興奮を覚えた。当社は、iPhoneでもFlashを体験できるよう、Appleと提携していきたいと考えている」
「当社ではiPhone用ソフトウェア開発キット(SDK)を評価してきた。そして今、Flashプレーヤーを自ら開発できるようになった。われわれはこの製品が両社のユーザーに恩恵をもたらすと考えている。当社はiPhoneでこの機能を実現すべく、Appleと共同で作業したいと考えている」
FlashアプリケーションがAppleのiPhoneで動作するか否か、また、動作する場合どのように動作するのかは、同デバイスの発売以来、いまだに答えの出ない問題だ。Narayen氏のコメントは、Adobe が3月に入って公開された「iPhone SDK」を活用することでiPhone用Flash Liteを開発することが可能であることを示唆するものだ。
Adobe経営陣はこれまで、多くの携帯電話で動作するウェブアプリケーションをFlashで記述し、いずれiPhoneでもそれを実現させたいという明確な意思を示してきた。
しかし、Appleはこのことについて、これまで容認してこなかった。Flashアプリケーションの動作が遅すぎるというのがその理由のようだ。
3月に開催されたAppleの株主総会で、CEOのSteve Jobs氏は正式版のFlashアプリケーションについて、iPhoneで使用するには「動作が遅すぎて実用的でない」と述べている。同氏はさらに、モバイルバージョンのFlashであるFlash Liteについても、「ウェブでの使用に十分ではない」と語った。
Jobs氏がFlashとFlash Liteについてこのようにコメントした後も、Adobeは他のデバイスにおけるFlash Liteの成功を述べてきた。しかし、FlashアプリケーションをiPhoneに搭載するという意向は示していなかった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ