.NET Micro Frameworkのデベロッパーチームを対象に含む一連のレイオフを実施したMicrosoftが、同技術のソースコードへのアクセスをユーザーおよびデベロッパーに提供する意向だ。
Microsoftは米国時間5月7日、同社が5日に実施したレイオフの対象に.NET Micro Frameworkチームが含まれていたこと、そして、.NET Micro Framework関連の取り組みが.NET Frameworkチームに統合されることを認めた。
.NET Micro Frameworkは、時計やコーヒーメーカーなど、小型または電力消費が小さく、完全な.NET Frameworkや.NET Compact Frameworkをサポートできない機器向けに設計されている。
レイオフの実施後、Microsoftは.NET Micro Frameworkのビジネスモデルを変更する計画を明らかにした。この計画には、開発およびサポートをより大きな規模でデベロッパーコミュニティーに委ねる案も含まれているが、Microsoftはまだ具体的な詳細は公表していない。
.NET Micro Framework担当のデベロッパーマネージャーであるLorenzo Tessiore氏は7日、ブログ記事の中で、「私たちは、ランタイムとオブジェクトモデル、さらにドライバのソースコードへのアクセスを認めることで、デベロッパーコミュニティーに製品の今後の定義付けと開発に携わってもらう予定だ」と述べた。
Tessiore氏によると、今回のソースコード公開に関してのライセンスは、必ずしもオープンソースの定義に当てはまるものではないという。
「わたしたちは現在、この取り組みに関するルールを策定しているところだ。開発活動を統制するためのプロセスと、幅広いライセンスの両方を提供できることを望んでいる。そうすることで、デベロッパーは必ずしもコミュニティーに貢献しなくても、コードベースを利用できるようになるからだ」とTessiore氏は述べた。
一般的に、オープンソースの定義を満たすライセンスは、コードに変更を加えた人に対し、変更点をコミュニティーに還元することを求める。
Microsoftは声明の中で、.NET Micro Frameworkの配布によるロイヤリティーは排除し、移植キットを無償で提供すると述べた。
既存顧客へのサポートは、今後も継続して実施する。また、MSDNサイトにあるフォーラムも存続する。Microsoftによると、新モデルへの移行後、新しい顧客のサポートはデベロッパーコミュニティーが担当するという。
Microsoftによれば、MSN Directチームも先週のレイオフの影響を受けたが、同チームは.NET Micro Frameworkベースの機器へのサービスを今後も継続して提供するという。MSN Directは、.NET Micro Frameworkベースの機器向けに渋滞状況通知や天気予報などの情報を提供する、FMラジオを利用したデジタルサービスだ。
Microsoftによると、MSN Directチームはこれまでと同じように、.NET Micro Frameworkに関係する携帯機器市場に注力していくという。
MSN Directチームはこの新しいビジネスモデルを、.NET Micro Framework技術の普及を加速させるチャンスととらえている、とMicrosoftは声明の中で述べた。Microsoftが目指しているのは、非常に小さな機器から高度なサーバまでをカバーするソフトウェア開発を実現できる、均一なプログラミングモデルとツールチェインを作り出すことだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ