Googleは「Chrome」ブラウザの新しいデベロッパー版で、機能をカスタマイズするためのエクステンションを搭載可能にするという、最も要求の高かった機能を追加した。こうした大きな発展を遂げる一方で、重要で高度ないくつかのウェブ機能に対するサポートが延期されている。
米国時間5月12日、デベロッパープレビュー版「Google Chrome 2.0.180.0」が公開された。リリースノートをみると、この新しいバージョンには上述の機能をサポートするためにいくつかの対応が施されているのが分かる。
GoogleのプログラマーであるAaron Boodman氏は12日、メーリングリストへの投稿の中で、「エクステンショングループは、12日付けのDev Channelのリリース版で、エクステンションがこれまでよりも少し使いやすくなったことを報告したいと思う。UI(ユーザーインターフェース)を加えてChromeの見た目を少しいじることができるようになった。また一部のAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)の準備が整いつつある」と述べた。「まだまだやるべきことは多く残っているが、Chromeエクステンションの作成に関心があるならば、試してみるよい機会だと思う」(Boodman氏)
エクステンションは、他のライバルブラウザに勝るMozillaの「Firefox」の大きな利点である。Firefoxがエクステンションをサポートするからというだけではなく、数千ものエクステンションが存在する点が大きな強みとなっている。
提供:Google
またGoogleは、Chrome Extension HOWTOのページを更新し、Chromeエクステンションのサンプルをいくつか提供した。エクステンションを使用するには、コマンドラインで「--enable-extensions」オプションを指定して同ブラウザを起動する必要がある。
エクステンションを作成する作業はすでに始まっている。例えばCleekiには、語句を選択すると、現在のページから移動することなくその語を検索するなど、その語を用いたさまざまなアクションを実行するChromeエクステンションがある。
また新バージョンでは、特定のウェブサイトからのポップアップを許可することができ、いくつかのバグが修正されている。また、ウェブページをレンダリングする「WebKit」とJavaScriptを処理する「V8」という2つの主要なコンポーネントが最新版にアップグレードされている。
しかしその一方で、ウェブページの記述に使用されるHTMLの次期バージョンであるHTML 5のいくつかの新機能への対応については、もう少し先になりそうである。Chrome開発者らは、Chromeの次の主要なアップグレード版となるバージョン2.1において、いくつかのHTML 5機能をサポートする予定にしていたが、その予定をバージョン3.0へと延期した(バージョン3.0のリリースはずいぶん先の話だ。Chromeの「安定」版では、バージョン2.0さえもまだリリースされていないのだから)。
延期されたHTML 5機能は以下の通り。
- 個人のコンピュータに情報を保存するための技術である、ローカルストレージ機能。オフラインでウェブベースの電子メールシステムを使用する際に便利で、ブラウザエクステンションプリファレンスや、ウェブ使用時のさまざまな情報を保存する。
- ウェブページへビデオをより簡単に埋め込むことを可能にするビデオサポート機能、そしてAdobe Systemsの「Flash」のような現在のビデオ技術でなし得るよりも優れた統合機能。
- ブラウザがバックグラウンドでタスクの処理を実行できる「Web Workers」。この技術によって、より洗練されたウェブアプリケーションが、ユーザーインターフェースを損なうことなく実行可能となる。
あるChromeのプログラマーは13日、簡潔な文面でこの変更を報告している。同氏は13日のローカルストレージ機能に関するステータスアップデートの報告で、「この問題に取り組む時間が十分にとれないため、Mstone:2.1(マイルストーン2.1)から除外」と記している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ