Opera Softwareが、同社のデバッグ用ツールキット「Dragonfly」を「Bitbucket」ホスティングサービスに移行して、同社初の完全なオープンソースプロジェクトを立ち上げている。
Dragonflyが当初からオープンソースのBSDライセンスの下で公開されていたことからわかるように、Operaによれば、当初からDragonflyを同社初のオープンソースプロジェクトにする計画だったという。しかし、Bitbucketに移行するまで、DragonflyはOperaのサーバ上でホスティングされていた。
Dragonflyの製品マネージャーDavid Storey氏は英国時間2月22日、ZDNet UKの取材に対し、「Dragonflyはもとからオープンソースだったが、今回、これについて正規のプロジェクトが誕生した。コードは、すでに外部サーバのBitbucket.orgに置かれている」と語った。同氏はこの動きを2月10日のブログの投稿で明らかにしていた。
Dragonflyは、DOM、CSS、ネットワーク用のインスペクタ、JavaScriptデバッガ、エラーコンソールなどで構成されており、「Opera」ブラウザのバージョン9.5以降に搭載される形で配布されている。
Storey氏のブログによれば、OperaはDragonflyの取り組みに力を入れ、コードを書き換えてきたという。
Storey氏は次のように記している。「現在リリースしているOpera Dragonflyで重点を置いたのは、安定性とパフォーマンスだった。そのため、機能的な新しさはさほど感じられないだろう。われわれは、強固な基盤を構築することが非常に重要だと考えた」
これまでのアーキテクチャは、Operaのプロトコル「Scope Transport Protocol」の最新バージョン「STP/1」に置き換えられ、Dragonflyとブラウザ間の通信が向上している。Operaは、STP/1が使用できるようにDragonflyのコードを書き換えており、速度と効率性が高まったと同社は主張する。
「基礎となるプロトコルの安定性と高いパフォーマンスを確信でき、一般向けデスクトップ製品に搭載されてリリースされるようになった今こそ、公開の「Mercurial」リポジトリにOpera Dragonflyを置くタイミングだ」とStorey氏は記している。Mercurialは、ソフトウェア開発者向けの改定版管理ツールだ。
Dragonflyツールキットでは、Scopeプロトコルを実行するあらゆるクライアントのデバッグを実行できる。つまり、携帯電話やテレビのデバッグをエミュレータなしにデスクトップから実行できるのだ。似たようなデバッグツールには、Mozillaの「Firebug」がある。
Storey氏は開発者に対し、Operaはオープンソースの世界に向けてまだ多少の調整を必要としていると、注意を促している。
「これはOpera初の本格的なオープンソースプロジェクトだ。そのため、学習しなければならないことが今後出てくるだろう。クローズドソースだったという背景からくる、克服すべきハードルがいくつかある。コメントのバグトラッキングシステムがクローズドサーバで動いているといったことだ。オープンなバグトラッキングシステムに移行して、プロジェクトを独り立ちさせたいと考えている」と、Storey氏は述べる。
Dragonflyが動作するのはOperaブラウザのみだが、OperaとしてはDragonflyを標準化して、ほかのブラウザでも動作できるようにする計画になっていると、Storey氏は述べ、「われわれは、どんなコンテンツでもすべてのブラウザで表示できるようにしたいと考えている」と結んだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ