Canonicalは、リリースを米国時間4月19日に控えているUbuntu Linuxの新バージョン「Feisty Fawn」(開発コード名)によって、トラブル発生時の対応に光を投げかけたいと考えている。
Canonicalの最高経営責任者(CEO)であるMark Shuttleworth氏はインタビューで、Ubuntu 7.04とも呼ばれるFeisty Fawnには、プログラマーがアプリケーションのクラッシュ原因を突きとめるうえで役に立つデバッグ情報を送信することができるソフトウェアが搭載されていると述べる。
同氏は「Ubuntuで実行されるアプリケーションの潜在的なユーザー数は膨大な人数にのぼるが、彼らはわれわれや上流工程に携わっている開発者との関係を持っていない」と述べたうえで、「もしも両者をより効率的に連携させることができれば、双方にとって望ましいことだ」と述べている。
インターネットを利用したデバッグ情報の自動送信は、従来であればユーザーがわざわざ報告しなかったかもしれないような問題が発生した際に、その問題についての情報をプログラマーに伝える有効な手段となる。「Microsoft Windows」には同様のことを行うソフトウェアが組み込まれており、Microsoftはそれを拡大しようとしている。
また、クラッシュレポートの自動化によって、たいていのユーザーの報告よりも詳細な技術情報が提供できるようになる。例えば、「スタックトレース」によって、クラッシュが発生した際のコンピュータ内部の状態が正確にわかるようになる。
「われわれは、アプリケーションのクラッシュを必ず検知し、スタックトレースのような詳細情報を収集し、その情報をわれわれに渡してもよいかをユーザーに尋ねることができるようなインフラの構築に取り組んできた」(Shuttleworth氏)
Ubuntuは、「Red Hat Linux」や「SUSE Linux」「Mandriva Linux」「Debian Linux」といった、より強固な地位を築いているLinuxのディストリビューションと並んで人気を得るようになった。デスクトップコンピュータを重要視することでUbuntuを推進するという戦略を始めたCanonicalは、市場で優位を誇っているMicrosoftから一部のユーザーを獲得してきたさまざまな競合企業のなかでも最も新しい企業である。しかし同社は、オープンソースOSが利益を上げた実績のあるサーバ分野で利益を上げていきたいと考えている。
Ubuntuのバージョンによっては長期サポートを提供しているものもあり、5年のサポートを提供した最初で最新のものは「Dapper Drake」とも呼ばれるバージョン6.06となっている。Shuttleworth氏は、Feisty Fawnが長期サポートが提供されるバージョンになることはなく、その次のバージョンでもないだろうと述べる。しかし同氏は、長期サポートのバージョンが、Ubuntuにおける6カ月のリリースサイクルを2回経過した後、つまり2008年4月に登場するはずだと述べている。
「Feistyの2つ後のバージョンになるだろうと思っている。時期的にそれぐらいだ」(Shuttleworth氏)
Ubuntuのプログラマーらは、Feisty Fawnで3Dグラフィックインタフェースを提供したいと期待していたが、同ソフトウェアはまだ成熟していないとの結論に達したため、それをオプションとした。
「望んだことを常に実現できるわけではない。それは良いことであり、健全なことだ」(Shuttleworth氏)
しかし、同氏は魅力的なインタフェースの可能性に興奮しており、Firefoxのプラグインインタフェースで起こったような新たなプログラミングプロジェクトが生み出される可能性があると確信している。
Shuttleworth氏は「デスクトップを魅力的にするインタフェースは、つまらないものとなってしまいやすい反面、根本的に素晴らしい新たなアイデアが生み出される分野でもある」と述べるとともに、「もしもわれわれがフリーソフトウェアを利用するユーザーのためにそういったことを実現できれば、創造の大きな波を引き起こすことができる」と述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ