オープンソースの仮想化ソフトウェア分野に存在している2つの重大な隔たりを橋渡しするソフトウェアが登場した。
Linuxカーネルプログラミング界の有名人であるRusty Russell氏は、オープンソースの仮想化ソフトウェアとして定評のある「Xen」と、その競合として急成長してきている「KVM」のプロジェクトに関わっている開発者の作業の一部を統一するソフトウェアを発表した。
具体的には、Russell氏のソフトウェアはネットワーク機器や、ハードディスクのような「ブロックストレージ」機器との通信を取り扱う抽象的なレイヤを追加するものである。このレイヤは「仮想I/O」レイヤと呼ばれており、その呼び名はRussell氏が先週、メーリングリストへの投稿で発表した際に使ったものである。このレイヤによって、ハードウェアをサポートするためのプログラムの記述を、それぞれのプロジェクト向けに個別に行わなくとも、1度行えばすむようになる。
IBMのプログラマーであるRussell氏は、技術の橋渡役として貢献してきており、業界の評価も高い。同氏はまた、「paravirt-ops」というソフトウェアプロジェクトにも貢献している。paravirt-opsはLinuxに、Xenと、プロプライエタリであるものの今日では広く利用されている仮想化ソフトウェア「VMware」との統合インタフェースを追加するものであり、これによって、同じバージョンのLinuxがそのままXenとVMwareのいずれの仮想化ソフトウェア上でも動作するようになる。
そしてRussell氏のソフトウェアは、少なくともKVMのリードプログラマーであるAvi Kivity氏から「優れたものだ」と暖かく受け入れられている。
仮想化はサーバの世界を席巻しており、デスクトップコンピューティングの世界にも進出しつつある。この技術を使用すると、1台のコンピュータで複数のOSを稼働させることができる。つまり仮想化を行うと、稼働率の低い複数のサーバを単独のシステムで置き換えることが可能となるため効率が高くなるうえ、負荷の高い、あるいは故障したコンピュータからソフトウェアを比較的容易に移動させることができるため柔軟性が向上する。
しかし、仮想化を現実のものとするためには、プログラマーはコンピュータ内部の重要な部分の多くを開発しなおす必要がある。例えば、コンピュータハードウェアを制御するためのOSは、その制御の一部を仮想化ソフトウェアに譲ることになる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ