「情報システムは社内の効率化の旗振り役」というのは出光興産 情報システム部システム総合研究所 所長の山村俊行氏。同社では効率化のためにSOAを導入した。
出光興産 情報システム部システム総合研究所 所長の山村俊行氏
山村氏の言う効率化とは「同じようなことをやりたい2部門があったとき、(それらをまとめて)こうすべきだ、という方向性を出す」こと。同氏は、こうした動きを率先できないのであれば「アウトソースなり、子会社に出してしまうなりすればいい」(山村氏)とする。同社は、この規模の企業でありながら情報システム部門を子会社として作らず社内に150人の部門を持っている。
効率化が求められる一方、業務アプリケーションに関しては、「業務ごとにSAP R/3やOracle、国産まで様々なパッケージアプリケーション、必要に応じて手組のアプリケーションも導入している」(同)と実に多岐にわたる。これは、情報システム部門のガバナンスが効いていないわけではなく「業務内容を最適に満たすことができるように、適材適所で業務アプリケーションを選択できるという考え方をしている」(同)からだという。ITではななく業務が優先という思想からだ。メインフレームも残っている。同氏は「オープンシステムだから安いと言うことは決してない。トータルで見るとメインフレームのほうが安い局面はまだまだある」とする。
こうしてできあがったヘテロジーニアスな環境を、基盤レベルで連携させていく必要がある。同社では、ホストコンピュータの更新を契機に基盤の情報システム再構築を行っている。再構築の目的はビジネスニーズの変化にシステムが素早く追従することと、情報開示の早期化、経営判断のための情報の一元化と素早い提供となった。特に同社は2006年に上場しており、情報開示の早期化へのニーズは大きい。
この再構築の基盤として同社はSOAを選択した。具体的にはBEA Aqualogic Service Busを導入している。「POSは.NET、生産管理はSAP、WebはJava、メインフレームも残る」(同)という状況においてSOAは自然な選択だ。ただ、BEAに相談を持ちかけたときSOAが念頭にあったわけではない。SOAはBEA側からの提案だった。さらにいえば、山村氏は社内でSOAという言葉を使わないという。「連携基盤という言葉を使っている。SOAなどの3文字熟語はユーザ事業部からすればよくわからず、だまされている気になる」(同)。また、ビジネスアプリケーションを保守・展開する側としても「SOAを意識したことはない」(同社)という。しかし、SOAの導入によって、単位連携あたりの工数は削減されているという。
山村氏は、現在のデータ連携にとどまらず、業務アプリのなかにBPMを取り入れて、プロセス連携までをカバーできる基盤を作りたいとする。こうした中で業務フローの洗い出しからプロセス設計という作業が必要とされる。「内部統制の必要性から、会計などの分野で業務フローの洗い出しが行われている。これが契機になってほかの分野でも進むのではないか」と同氏は期待を示す。ただし、これには全社的な参加が必要になる。「情報部門とユーザー部門が一緒にモデリングしていかなければならない」(同)。同氏は「この面で部門間の人事異動などは良い面に働いていると思う」とする。山村氏自身、今回の再構築プロジェクトが始まる頃に製造部門から異動してきている。
BEAでは、BMPはビジネスを、SOAはITを最適化する。ともに効率とコントロール、素早さをもたらす、とSOAとBPMを位置づけている。出光はSOAによってITを最適化した。次はBPMによってビジネスまでをふくめての最適化ステージとなる。ビジネスをきちんと理解した情報部門が、ユーザ事業部門をいかに参加させプロセスモデリングをしていくか、日本におけるSOA・BPM導入のロールモデルのひとつとしてこのチャレンジに注目したい。
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