富士通は3月25日、同社が開発した、遠隔操作でデータを消去する「CLEARSURE」(クリアシュア)機能を搭載したノートPC約5万台を日本生命が営業職員用新携帯端末として導入することを決定したと発表した。日本生命は、新契約申し込みなど各種手続きの簡素化、個人情報保護などのセキュリティ強化を図り、顧客へのサービスを一層向上させることを目指し、2012年1月から順次配備する予定だという。
CLEARSUREは紛失盗難対策を目的にしており、PCに内蔵された専用通信モジュールのPHS網を利用した遠隔操作でハードディスク(HDD)内にあるデータをすべて消去する。富士通によれば、このデータ消去機能は、暗号化機能付HDDで暗号化されたデータを復号するための暗号鍵を消去することで、HDDに保存されたデータを復元できなくするものだという。
PHS電波の届く場所であれば、PCの電源状態に左右されず、遠隔操作による消去コマンドの受信が可能としている。データを消去した時点で、消去実行内容や位置情報、最終利用日時などの結果レポートも自動的に発行できるという。端末が盗難にあったり、紛失した場合でも遠隔操作でデータ消去ができるため、同社では「電源オフの状態でもデータ消去ができるのは世界初であり、高い確率で情報漏洩を防止することが可能」としている。
PCが通信圏外にある場合、BIOSのログオン条件を満たさない限り自動的にPCをロックする設定にしておくことが可能だ。一度PCをロックすると管理者PCからロックを解除する指示がない限り、PCを起動できない仕組みになっている。
日本生命は、今回の端末導入で契約者自身が端末に表示されるプランを確認して必要事項を入力、その場で入力漏れなどのシステムチェックができるため、申込書への記入漏れを防げると期待しているという。
また、保険証券や印鑑証明書、戸籍謄本などの書類提出、署名押印などの手続きを廃止でき、端末上での顧客IDとパスワード認証でスムーズな手続きが実現するなど、簡素化が図れるともしている。従来ウェブサイトで手続きしていた顧客の住所や連絡先の変更なども、営業職員が端末を持参して対応できるようにもなると説明する。
日本生命は、保険にかかわるすべての仕組みを、わかりやすさと利便性の向上による顧客サービスの観点から見直すプロジェクト「新統合計画」を進めているとともに、環境への配慮などの観点から、新契約申し込みなどの各種手続きでも保険証券の提出や印鑑の押印を廃止するなど、ペーパーレス化に取り組んでおり、新端末の導入は、これらの取り組みの一環となる。