データ復旧ソフトを使っても修復できない、あるいはハードディスクドライブ(HDD)自体が物理的に壊れてしまって動作しない!――こうしたユーザーレベルでの復旧が困難なストレージ障害が起こったときに、どうすればいいのだろうか。
今回の特集では、ユーザーレベルでも利用可能なデータ復旧ソフトウェアに加え、ハードウェアに関する知識が少なく、情報収集が困難なユーザーに代わって、データ復旧を行ってくれるサービスを紹介しているが、その締めくくりとして、ヘッドやディスクの変形、火災や水害で被災したストレージなど、著しい物理的障害が発生した媒体からであってもデータを復旧させてしまう実力を持った専門集団を紹介したい。
国内市場規模は20億円、その6〜7割が物理障害
2005年度のデータ復旧サービスの国内市場は、約20億円といわれている。これは、あくまでもデータ復旧事業者に持ち込まれた案件の売上高であり、データ復旧ソフトの販売額やパソコンショップあるいはシステムベンダーが手掛けたものは含んでいない。
この国内市場で大手3社を含む5社が9割以上のシェアを占めているという。その中で全体の58%のシェアを持つのが、ワイ・イー・データのオントラック事業部だ。同社は、ワールドワイドでデータ復旧サービスを専門に行う米オントラックと独占的技術導入契約を結び、1995年に国内初のデータ復旧ラボを開設している。
ワイ・イー・データ、オントラック事業部の事業部長である沼田理氏によると、ストレージ障害で持ち込まれる事案は各社各様としながらも、「6〜7割が、OSがすでにドライブを認識しなくなっている物理障害を起こしたストレージ。当社に限れば、8〜9割に及ぶ」と指摘する。そうした物理障害のうち、約半数を占める具体的症例がディスクのリードエラーによるものだという。
現在のHDDの構造は非常に精密になっている。記録密度が高まっているため、ヘッド素子と回転するディスク(メディア)の距離は10ナノメートルという、毛髪の直径の1万分の1の隙間しかない。これはジャンボ機が地上0.7ミリメートルの高度を飛行している状態に相当するという。また、ディスクの1ミクロンの幅には、4トラックが納められており、高温にさらされたディスクの変形などによって生じたわずかな狂いが、リードエラーを引き起こす。
「ディスクは溶融して成形したダイキャストでできており、熱によってわずかに膨張します。それが均一に膨張することはないため、ねじれが生じてリードエラーを起こすことがあります。そのため、冷却効率の悪い環境で使用されたサーバやストレージは、リードエラーを主因とする物理障害を引き起こすリスクが高い」(沼田氏)
リードエラーを起こした部分が単純に1つのファイルであれば、そのファイルが読み取れなくなるだけで済むが、ディスクの最初のセクタであるマスターブートレコード(MBR)、あるいはドライブに関する情報が書き込まれている「トラック0」が読めなくなると、システム側からは何も認識できない状態になる。
ワイ・イー・データ、オントラック事業部は、データ復旧サービスを専門に行う米オントラックと技術契約を結んでいる。1995年に国内初のデータ復旧ラボを開設しており、10年以上の実績を持つ。
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