さて、「安く高品質に」というキャリアにおけるイーサネットの課題を解決するためには、現在、2つの方法が考えられている。1つがMPLS(Multi Protocol Label Switching)に機能を追加する方法。もう1つがイーサネットそのものに機能を追加するPBTのような方法である。
MPLSは、IPネットワークの上でイーサを飛ばすイメージで、複数の対地に対してすべてパスを張るフルメッシュの構成をとる。そのためノードが1つ増えるたびにすべてのノードにパスを張ってやる必要があり、コストはかかる。また、オペレーションにおいても障害ポイントの切り分けは難しくなる。そもそも価格の高いMPLSをネットワークエッジに展開するのは事業採算性に乏しい。
PBT技術の保守運用性については、イーサネットOAM(Operations, Administration and Maintenance)機能の標準化(IEEE 802.1agとITU-T Y.1731)が順調に進んでおり、SONETと同等の保守運用機能を提供する。PBBとPBTの標準化にはノーテルのPaul Bottorffが、IEEE 802.1agとITU-T Y.1731にはDinesh Mohanが、主エディターとして参画している。
2007年1月、英British Telecomは、NGN(次世代ネットワーク)の構築にPBT技術を採用した。今後、メトロイーサにおいては、PBT技術がNGNインフラの中核技術となるだろう。
40Gbpsの1000km超伝送を実現
40Gbpsで2000Km飛ばせるとしたら、実に画期的な技術となる。しかし、すでにノーテルはこれを実現しているのだ。
まず、レイヤーゼロの世界、光の波について話さなければならない。光は光ファイバーの中を波となって通過する。オプティカル通信のシンプルな考え方は、光が1で闇が0と考えて、10Gbpsを実現するには1ビットの情報を1秒間に、10G個の信号に乗せて伝送する。
光ファイバーを通過する光の波からは、振動方向が異なる垂直方向の波と水平方向の波が得られる。これを偏光(Polarization)と呼ぶ。1つの波を4つの象限に区分けし、それぞれの象限に0,0、0,1、1,0、1,1と2ビットの情報を乗せるQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)と呼ぶ技術がある。
ノーテルでは、2つの偏光を両方とも用い、1つの信号に4ビットの情報を載せるDual POL QPSK技術を実現した。この技術を使用すれば、1つの信号に4倍の情報を乗せられるため、40Gbpsの伝送を10Gの光信号速度で実現することができる。その通信可能距離は、驚くなかれ2000kmにも達する。バックボーンの大容量化を進めている日本のキャリアの皆さんにもきっと喜んでもらえるだろう。
筆者紹介
河田純一(かわた じゅんいち)
ノーテルネットワークス キャリアソリューションズ
メトロイーサネットネットワークス 部長
経歴:
国内メーカーを経て、1995年にノーザンテレコムジャパン入社。現在は、キャリア向けの光伝送装置、メトロイーサネット製品を担当。
一言:
メトロネットワークの基幹を支える技術としてもイーサネットが利用されています。信頼性の高い、高品質のネットワークをいかに低コストで構築できるか、日々チャレンジを続けています。
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