ノートPCは、過去10年の急速な普及によってビジネスシーンにおける当たり前のツールとなった。しかし現在ではモバイル機器からデータにアクセスできることの利点が当然視されていることから、小型のスマートフォンやPDAタイプのモバイル機器にとっても、当初のつまずきの悪夢ははるか過去の出来事となっている。
あらゆる状況を総合し、近年の広帯域モバイルデータネットワークによる加速化も考慮すると、モバイル機器は会社のデータベースやアプリケーションに格納されている企業情報にアクセスする手段としてこれまで以上に利用されるようになっていると言える。もはやスタッフは重い手続きマニュアルを現場に持って行く必要はなくなり、発送係に電話をかけるという時間のかかる行為も過去のものとなっている。
そう、近年モバイル機器導入で鍵を握っているのは各自により多くの管理権限を与えること(セルフエンパワーメント)である。つまり、企業情報にアクセスしやすくなるツールを従業員に与えれば、生産性が急激に上昇するという理屈だ。
Gartnerは最近のこの概念に飛びつき、リサーチ担当バイスプレジデントであるNick Jones氏は最近のGartner IT expoのイベントで出席者に対して、モバイル導入からメリットが得られるビジネスプロセスを識別するモビリティ能力センターの設立を検討するように勧めた。この準備のために、Jones氏は無線LAN技術に重点的に投資するとともに、「Windows Mobile 6」または「Nokia E Series」のようなモバイル機器プラットフォームによって標準化することを企業に奨励している。
でも、問題が起きたら?
モバイル機器は、小型のスマートフォンであろうが大型のラップトップであろうが、とにかく紛失しやすい。たとえば、セキュリティベンダーのPointsecによる最近の調査では、米国の2つの都市だけで、1万2000台のスマートフォン、PDA、携帯電話、ポケットPC、ラップトップがタクシーの中に置き忘れられたという。Pointsecによって2005年に実施された同様の調査結果では、シドニーにおいても状況は同様に深刻であり、推定された結果では、わずから6カ月の間に1万3280台の機器が置き忘れられたという。幸い、機器の大部分は持ち主の元に戻っている。しかし、移動中にモバイル機器に起こる問題は紛失だけではない。モバイル機器を導入したほとんどの企業は最終的にそれらの機器に頼ることになるのであるが、モバイル機器を日常のビジネスシーンに組み込むまでの道のりには、画面の破損、電池切れ、VPNの設定ミス、機器の紛失やその他多くの問題が山積している。
それらの問題を解決したとして、コンピュータがオフィスにあるうちはまだましだ。しかし、そのコンピュータが1000kmも離れた場所にある場合は、あらゆる問題が格段にその深刻さを増す。ここで鍵を握るのは、少しの常識と、企業データが予期せぬ場所に絶対に持ち出されることのないように慎重に考え抜かれた技術計画によって各従業員に与える権限を縮小することだ。
Sprite Backupのようなモバイルバックアップソリューションを使用すれば常にデータのコピーを遠隔地のWindows Mobile機器に確保できると同時に、Windows MobileやNokiaの環境に内蔵された管理機能では遠隔シャットダウンやデータ削除といった機能がサポートされている。
ノートPCは、機密データを格納できるフルサイズのハードディスクを搭載していることから状況がさらに厄介になるが、MSS(managed storage service)のプロバイダーがこの問題に対処する。こうした業者はカスタマイズされたアプリケーションを使用してデータを増分バックアップすることによって、機器がオンラインのときには常にデータセンターのセキュリティが確保されるようにしてくれる。
企業がPDAやその他のパーソナル機器を導入するときに直面する最大の問題の1つは、個人にとって携帯電話は自分の城であるという考えを払拭することであると、MicrosoftのTrustworthy Computing Groupでシニアセキュリティストラテジストを務めるSteve Riley氏は言う。
「会社からラップトップを供与されたほとんどの従業員はそれがビジネス資源であることを本質的に理解するが、携帯電話やPDAは極めて個人的な機器だ」とRiley氏は説明する。「企業が従業員に携帯電話を供与する時代になったのだから、エンドユーザーも携帯電話やPDAでさえもビジネス機器になるという考えに慣れる時期が来るだろう」
そのためには注意深い研修や意識向上活動とともに、モバイル機器のビジネス機能がなるべくシームレスに実行される環境が必要である。幸いにも、ますます高度化しているビジネスモビリティアプリケーションがそのプロセスを引き受けるようになっており、継続的にデータをインテリジェントに同期してミスによってデータが失われるリスクを軽減している。
モバイル機器がツールとしてこの上なく成熟化しているのは疑いない。モバイル導入を真剣に検討しながらデータ損失の懸念のために導入をためらっている企業にとっては、現在では十分に管理しやすい環境でモバイルを導入するための十分なオプションがある。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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