GoogleのAndroidを搭載した携帯電話や、AppleのiPhoneがスマートフォン市場で話題をさらっている一方、BlackBerryのメーカーであるResearch in Motion(RIM)は米国エンタープライズ市場で企業やIT部門を魅了する好手を指し続けている。
Android端末やiPhoneはコンシューマーの間で人気を博しており、こういったスマートフォンを会社に持ち込んで、電子メールやウェブアプリケーションといったビジネスシステムに接続する社員も増えてきている。
しかし、ビジネスプロセスとの統合化をより緊密なかたちで実現できるスマートフォンとして、企業が社員に与えているものはというと、ダントツでBlackBerryとなっている。実際のところ、BlackBerryの最大のライバルであったWindows Mobileがここ数年伸び悩んでおり、MicrosoftもWindows Phone 7でコンシューマー市場に注力するという決断を最近になって下しているため、BlackBerryの勢いはさらに増してきている。
本記事では、BlackBerryを使用し、記事を執筆してきた筆者自身の体験と、4月27〜29日にフロリダ州オーランドで開催された「Wireless Enterprise Symposium 2010」(WES 2010)で開発者たち、および最高情報責任者(CIO)たちから見聞きしてきたことを元にして、BlackBerryがエンタープライズ市場で優位に立ち続けている理由について考察し、その内容を以下に紹介している。
1.オープンな開発プラットフォーム
BlackBerryは開発者(特にエンタープライズ開発者)向けのプラットフォームを提供している。またRIMは、OSとの緊密な統合を可能にするBlackBerry APIという大規模なライブラリも提供している。さらにプラットフォーム自体が、スケーラビリティやセキュリティを重視するエンタープライズ向けのJavaをベースとしたものとなっている。
RIMはまた、企業自らがBlackBerryアプリケーションを配備できるようにもしている。そして、アプリケーションの配備はプライベートな、あるいはパブリックなウェブページに公開するだけでよく、無線(OTA機能)を使って行うこともできる。この点は、iTunesやApp Storeを介して配備を行う必要のあるiPhoneにない大きなメリットであると言えるだろう。
2.セキュリティとコンプライアンス
BlackBerryはハードウェアとOS、バックエンドソフトウェアであるBlackBerry Enterprise Server(BES)によって、万全のセキュリティが実現されている。またBlackBerryは当初から、銀行や政府をはじめとするエンタープライズ向けの製品として開発されている。こういったエンタープライズやそのIT部門は、堅牢なセキュリティが保証されない限り、採用の検討さえ行わないはずである。
つまり、BlackBerryはセキュリティを第一義とする考えに基づいて開発されているため、今日のさまざまなコンプライアンス基準(SOXやHIPPAなど)にもしっかり対応できるようになっているわけである。暗号化や認証、データ保護の技術的な詳細については、BlackBerryのセキュリティに関するページを参照してほしい。