HD DVD事業終息が影響するもののPC事業が好調な東芝
東芝は売上高が前年比7.8%増の7兆6681億円、営業利益は7.9%減の2381億円、税引前利益は14.4%減の2556億円、純利益は7.3%減の1274億円と、3年ぶりの減益となった。
減益要因としてあげられるのが、HD DVD事業終息に伴う損失の計上だ。2007年度の営業損失として602億円、さらに終息費用として483億円を加え、1085億円の損失を計上している。2007年度におけるHD DVD事業の売上高は274億円になったという。同社 代表執行役専務の村岡富美雄氏は「HD DVDの終息に関わる費用はほぼ見込み通り」と語っている。
また、一方でNAND型フラッシュメモリの価格下落による半導体事業の収益悪化も影響しているという。
薄型テレビおよびPCを含むデジタルプロダクツ部門は、売上高が5%増の2兆9512億円、営業利益は5.1%減の150億円となった。下期は黒字を確保したというテレビ事業に加えて、PC事業が国内外ともに好調。PC事業は売上高が前年比7%増の1兆404億円と初めて1兆円を突破。営業利益は497%増の412億円と増収増益になっている。
2008年度の連結業績予想は、売上高が前年比4.3%増の8兆円、営業損益が21.8%増の2900億円、税引き前利益が1.7%増の2600億円、純利益は2.0%増の1300億円としている。
デジタルプロダクツ部門の業績見通しは、前年比5.0%増の3兆1000億円、営業利益は367%増の700億円を見込んでいる。HD DVD事業の損失分が解消するほか、テレビ事業の黒字化が貢献すると見ている。
同社は2010年度を最終年度とする中期経営計画も発表した。2010年度の売上高10兆円、営業利益5000億円、営業利益率5%を目標としている。そのうち、デジタルプロダクツの売上高は4兆1000億円。年平均成長率は12%増という高い成長率を見込んでおり、同社 代表執行役社長の西田厚聰氏は「デジタルプロダクツ事業を収益の第3の柱に育てる」との方針を明らかにした。
特にPC事業は2010年度までの年平均成長率で18%となる、1兆7000億円に拡大させる計画を打ち出したのに加えて、営業利益率を2007年度の0.5%から2010年度には2.4%へと大幅に改善したい考えだ。
「BRICsなどにおける販売拡充、米国および欧州におけるシェア伸張といったグローバル展開に加え、AVノートPCではSpurs Engineによる超解像度機能による差異化、モバイルPCではSSD搭載による省エネ化、軽量化、堅牢性強化を図り、また、燃料電池搭載によるバッテリの長時間駆動による差異化を図る」とした。
同社では2010年からノートPCに搭載されるHDDの、SDDへの置き換えが始まると予測。西田氏は「2010年にはノートPCの10%、2011年には25%をSDDが占めることになるだろう」との見通しを示している。同社が積極的な投資を続けるSDDによって、ノートPCでも差異化が可能としている。
なお、SSD市場においては将来的にシェア50%の獲得を目指すという。