金融市場が混乱し、不況の色彩を一層強くする米国において、堅実なアメリカ人を作り上げようという動きが見られる。Wells Fargoは、予算管理ツールをユーザー向けに新たにリリースし、米国でオンラインバンキングを展開するING Directは、「WE, THE SAVERS」というキャンペーンを開始した。面白いのは、堅実なアメリカ人という概念以上に、銀行が立ち上げた新しいオンライン・ツールにある。
堅実なアメリカ人
我々の持つアメリカ人のイメージは、積極的にリスク商品へ投資を行って資産形成に励む一方、その資産に応じて消費活動も極めて活発というものである。日本も同様に消費社会ではあるものの、バブル後の長い停滞期を通じて金融資産の半分は預貯金に固定され、ようやくそれが投資へ向かい始めたところで今回の不況へ突入した。しかし、消費大国アメリカが、今堅実さを奨励し始めているのである。
Wells Fargoのサービスは、「My Spending Report with Budget Watch」というオンライン・ツールである。もともと「My Spending Report」という使ったお金を管理するツールはあったのだが、これに予算管理機能がついて使い過ぎを防止しようというのだ。カテゴリー毎に予算枠を設定して、その経過を日々モニターすることが出来るようになっている。
ING Directは、もっと煽動的だ。「WE, THE SAVERS」というキャンペーンのもと、10ヶ条からなる宣言文を掲げ、それに賛同する人たちにオンラインで署名を求めているのである。その10ヶ条の一つ目、「あなたの稼ぎ以上に使うのはやめましょう」(翻訳は筆者)である。あまりに当然過ぎる話だが、そうではなかったアメリカの現実をここに垣間見ることが出来る。ご参考までに10ヶ条を原文のままここに再掲しよう。