共同作業を進められる
会議システムといえば、かつてはビデオ会議システムそのものを指していた。しかし、ここに来てPCをベースにしたウェブ会議システム製品が台頭しつつあり、ビデオ会議だけを指すものではなくなりつつある。
それでは、ウェブ会議ならではのメリットはどんなところにあるのか――。ウェブ会議システム「WebEx Meeting Center」をASP/SaaS(Software as a Service)形式で提供するウェブエックス・コミュニケーションズ・ジャパンでマーケティング部マネージャーを務める宮野亮氏は、そのメリットについて「距離と時間を節約できるという点では、ビデオ会議システムと共通していますが、ウェブ会議の場合、実務者同士の打ち合わせという局面でメリットを発揮します」と語る。
ウェブ会議システムというと、ややもすれば“PC版ビデオ会議システム”というイメージで、手軽にビデオ会議システムを行えるものと思われがちだ。確かにウェブ会議システムでも映像と音声で話のやり取りはできるが、ウェブ会議ならではのメリットとは「パワーポイントなどのデータやアプリケーションをリアルタイムに共有できる」(宮野氏)ことにある。つまりは、遠隔地にいるもの同士が、データやドキュメントを中心にリアルタイムに議論を進められるというのがウェブ会議のメリットだ。ウェブエックスでは、そうした業務の進め方を「Webコラボレーション」と呼んでいる。
「たとえば役員会議などのように、相手の顔色を見ながら議論するというタイプの会議にはウェブ会議は適していません。むしろ資料を中心にああしたい、こうしたいという感じで議論を展開する、実務者同士の打ち合わせという方がウェブ会議は向いています」(同氏)
同社が提供するWebEx Meeting Centerでは、パワーポイントのデータのように比較的軽いデータだけでなく、たとえばマシンパワーをかなり必要とするCADソフトウェアの重い3次元データもリアルタイムに共有できる。こうしたことから、同社のWebEx Meeting Centerを利用すれば、製造業の開発部門の開発担当者、設計部門の設計主任、生産部門の工場責任者などが同じ3DのCADデータを見ながら、そして3DのCADデータを回転させ、細かいところまでを吟味しながら部品のデザインを詰めていくということもできるようになるのである。同社がWebコラボレーションという言葉を使うのは、このようにリアルタイムに遠隔地間でデータやアプリケーションを共有し、操作し合いながら共同作業を進めることができるからだ。
情報共有インフラとして活用
リアルタイムにデータやドキュメントを共有できるというのは、大きな効果をもたらす。第一三共での導入事例がその典型例になるだろう。