ひとつ言えるのは、コンシューマーにとってブランドは「体験」だということです。広告やサイトなどで見たもの、聞いたものなどから、人々は印象やイメージを植え付けられます。その印象やイメージに合った体験ができるかどうかで、ブランドができあがるのです。
例えば「Evian」という水の広告を見て、人はフレッシュでさわやかな水をイメージします。これは「ブランドイメージ」です。そのイメージを持ってEvianを飲んだ時、想像通りにフレッシュでさわやかであればブランドは確立されますが、逆に泥のような味がした場合、いくらイメージは良くてもブランドは成立しません。このように期待通りのものが得られるかという体験の部分は「ブランドアクション」です。今回の調査では、このブランドイメージとブランドアクションという指標を中心として、各企業のブランド戦略を分析してみました。
調査した企業の多くは、ブランドイメージにはかなり注力しているのですが、ブランドアクションについてはあまり成績が良くありませんでした。サイトを訪問した際、大きな写真やイメージがまず登場し、実際の情報へのリンクはページの下の方に小さく貼られているだけということがよくあります。あれはブランドイメージのみを重視してページを作った例です。
--確かにブランドイメージは多くの企業が気にするところだと思いますが、それでも合格点とした企業が少ないですね。どういう評価基準があるのでしょう。
例えば、各社はブランドに対する位置づけや意味を持っているのですが、そのブランドの位置づけとサイトの中身に一貫性があるかどうかを評価しました。つまり、ブランドイメージがサイトの中に正しく表現されているかということです。
この点においては、調査対象となったサイトの中では日産が最も良い評価を得ることができました。日産はサイトの中で、車をライフスタイルの一部として提供することで人々の生活を豊かにすると説明しています。そのイメージに合うよう、例えば同社の「Wingroad」のページでは、車のトランクルームに格納されている背もたれを引き上げ、ピクニックのベンチとして利用できることをビデオとテキストでうまく表現しています。サイトのイメージとオフラインの広告イメージも一致しており、一貫性があります。
逆に、この分野において一番評価が低かったのはソニーです。それはまず、ソニーがブランドの位置づけとして掲げていることが非現実的なところにも理由があります。ソニーでは、ソニーブランドを打ち出すことの意味として、決してユーザーを失望させることなく、常に新しいものがあるとしていますが、これはブランドというよりも会社のミッションそのものです。サイトに来て常に新しいものに出会えるかというと、そうではありません。
先ほどブランドの位置づけとサイトの中身に一貫性があることが大切だと言いましたが、実はソニーのブランドの位置づけである「予想もつかないこと」や「論理的ではないこと」といった内容は、サイトのどこに何があるのかわかりにくいという内容と一致しています(苦笑)。ソニーのサイトばかりを悪く言うつもりはありませんが、この一貫性はあまり良い例ではありませんね。
--ブランド力のある企業の代表とも言われるソニーの評価が低いのは意外ですね。他の企業はどうでしょう。
特徴的だったのは、日産以外にも、マツダ、トヨタなど、自動車メーカーの評価が高かったことです。マツダは「スタイリッシュで洞察力があり活発だ」というブランドの位置づけをしていますが、「zoom-zoom」という合い言葉や、切れ味のある画像などでそれをうまく表現しています。一方トヨタのブランドの位置づけは、「環境に優しく安全な車社会を作り出すこと」ですが、サイト全般に渡って自然を背景にした描写が多く、環境に優しい企業であることがわかりやすく表現されていました。
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