シトリックス・システムズ・ジャパンは、同社のサーバ仮想化製品「Citrix XenServer」の無償化を3月31日に発表した。ノードの中央集中管理や複数サーバのリソース管理、ライブマイグレーションなど集中管理に必要な機能を搭載した最新版だ。なぜこのような、企業の実稼動環境で使用できる製品の無償提供に踏み切ったのか。
無償化の背景にあるビジネス哲学
仮想マシン(Virtual Machine)や仮想化(Virtualization)という言葉は古くから使われてきた。シトリックス・システムズ・ジャパン 取締役会長の大古俊輔氏も、世界初の仮想化OSといわれるIBMのVMファミリーなどを、身をもって経験してきた1人だ。その仮想化がクライアント/サーバモデルの時代を経て、アプリケーション、デスクトップ、サーバという各階層で実現されていく中で、今回のXenServer無償化という決断が生まれた。大古氏にその背景を聞いた。
――XenServer無償化の発表が話題になっています。ライセンス料でビジネスを行っている会社が、なぜその商品の無償化を打ち出したのでしょうか。
シトリックス・システムズ・ジャパン 取締役会長の大古俊輔氏大古氏: 背景にあるのは、「付加価値を提供して対価を得る」という当社の基本的な方針です。シトリックスは20年前、Windows上でリモートからのアクセスを実現するという付加価値を提供することによってその対価、つまりソフトウェアライセンス料をいただくというビジネスを始めました。しかしその後、シトリックスが開発したターミナルサービスの機能がWindowsの中に入ると、当然顧客はその料金を支払わなくなります。
われわれは常に、付加価値に対するプライス、いわゆるバリュープライスという考えで価格付けをしてきました。2年前にXenSourceを買収して発売したXenServerは、これまでオープンソースに対して付加価値があったから対価をもらえましたが、今ではいろいろな会社がサーバ仮想化のソリューションを出し、Windowsにもハイパーバイザーが無償で提供されるようになってきています。
――XenServerだけでは付加価値を提供できないということですか。
大古氏: 基本的な仮想化機能がコモディティ化したわけですから、バリュープライスという考え方で行けば、われわれはその次のステップに行かなくてはならないわけです。そこでこの無償化とともに発表した管理ソリューション「Ctrix Essentials for XenServer」で付加価値を提供し、ここで料金をいただくことにしたのです。
これはXenServerの基本的な仮想化の機能に加え、動的なプロビジョニングや主要なストレージとのシームレスな結合など、高機能な管理機能、自動化機能などを取り込んだ製品です。この製品でお客様に新たな付加価値を提供し、従来のXenServerの基本的な機能はコモディティ化しているので、そこから料金はいただかないと決めたのです。
無償化は仮想化の進化の証
斬新な機能もいつかはコモディティ化し、次の時代に移っていく。XenServer無償化の背景には、そうしたソフトウェアの進化の過程があったということだ。特に仮想化の世界は、ITの進化と歩調を合わせるように進化を続けてきた。そこで改めて、今回のXenServer無償化に行き着く仮想化の過程を聞いた。
――IT市場はかつてのメインフレームの時代からクライアント/サーバの時代、そしてウェブの時代、サービスの時代への変遷を遂げてきましたが、仮想化にも長い歴史があります。
大古氏: 米Citrix Systemsの創業は1989年ですが、そのころはそれまでのメインフレームの時代からクライアント/サーバの時代に移り変わる時でした。これは画期的なことで、それまでメインフレームに閉じこもっていた情報がわれわれのデスクトップの上で使えると期待されたのです。
しかし当時のネットワーク環境は十分ではなく、クライアント/サーバモデルをメインフレームのように遠隔地から使うには問題がありました。そこで出てきたのが「MetaFrame」、現在の「XenApp」です。これはまさにアプリケーションの仮想化そのもので、アプリケーションをあたかもクライアント上にあるように自由に使えるようにしたのです。
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