2007年、Appleは大胆に歩みを進め、テクノロジやメディアの世界で最も影響力の強い企業の1つとして、その座を改めて確かなものにした。
おそらく、読者の皆さんも「iPhone」について耳にしたはずだ。携帯電話市場に割って入ろうとするAppleの試みは、テクノロジ関係のメディアだけでなく大手メディアでも前例のないほど大きく報道された。iPhoneは、2007年1月の「Macwrold」で初めて発表され、穏やかな6月の夜、全米各地で行列を作り、待ち構えていた消費者の前に登場した。われわれも数百人の他のメディア関係者と共に、iPhoneを巡る狂乱が米国中を駆け抜けた1日を現場で追った。
2007年も後半に入ると、9月末時点でiPhoneの販売台数は140万台に達し、英国、ドイツ、フランスでも販売が始まった。
何もかもが予定通り順調にいったわけではない。発売後わずか数カ月で200ドルの値下げに踏み切ったことは議論を呼んだし、ハッキングされたiPhoneに対してAppleがとった報復的な再ロック処置などに腹を立てた早期購入者もいた。それでも、携帯電話業界はiPhoneの登場で緊張感を取り戻し、Appleがデザインやユーザーインターフェースの点で平均的な消費者の心を射止めたことを知り、業界側も何らかの対抗策を立てる必要があることに気づいたことは間違いない。
しかし、2007年の話題となったのはiPhoneだけではなかった。Appleは9月、「iPod」のラインナップを一新し、iPhoneと同じインターフェースを持つ「iPod touch」や、動画再生に対応した第3世代の「iPod nano」を発売した。初代モデルの発売から6年が過ぎた今でも、iPodはApple史上最大のヒット商品の地位を維持しており、2007年のホリデーシーズンにおける出荷台数は、2006年の2100万台を上回ると予測されている。
Macに関しても、Appleは勢いに乗っている。PC業界全体がノート型マシンに軸足を移しつつあり、Appleも引き続きこの動きから恩恵を得ているのだが、2007年中には「MacBook Pro」および「MacBook」の基本デザインに大きな変更はなかった。その代わり、オールインワン型デスクトップマシン「iMac」については、「Mac Pro」やMacBook Proと同じくチタニウムグレーのカラーリングを採用した新モデルを8月に発売した。
そして、「MacOS X」の6番目のバージョンとなる「MaxOS X v10.5(Leopard)」が発売された。iPhoneを間違いなく予定発売日に間に合わせるために、Leopardの発売は4カ月延期されたものの、発売後最初の週末でだけ200万本を売り上げた。これは、インストールベースにおけるMacの総台数の約9%に当たり、OSのメジャーアップグレードとしては驚異的な数字だ。Leopardの最初のバージョンに存在した不具合に関しては不満の声も聞かれたが、修正版の「MacOS v10.5.1」がリリースされると、そういった不満も聞こえなくなった。
しかし、2007年が終わろうとしている今、Appleのビジネスで最も激しい動きがある部門は、おそらくiTunes Storeだろう。iTunes Storeは、これまでになかった競争に直面しているからだ。今年に入って、Amazon.comは独自のオンライン音楽ストア「Amazon MP3」を開設し、NBCなどのテレビネットワークは、自社番組のオンライン配信を自らの管理下に取り戻したいとの意向をちらつかせている。インターネットで(合法的に入手可能な)音楽やテレビ番組を見つける最高の場所として、iTunes Storeの地位は依然として揺るぎない。だが、ここは2008年注目の市場だ。快進撃を続けるAppleのオンラインストアに、今挙げたような新たな競合相手は追いつけるのだろうか?
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ