米国時間7月8日、「Google Docs」の多数のユーザーが1時間にわたってオンラインワードプロセッサやプレゼンテーションを利用できなくなった。今回の障害により、クラウドコンピューティングに伴う問題のみならず、この構想が受け入れられるための努力が徐々に進展していることも明らかになった。
ソフトウェアをPCや企業のサーバではなく、インターネットのコンピュータで動作させるクラウドコンピューティングには、技術的にも文化的にもある種の信頼が必要だ。クラウドコンピューティングのユーザーは常に他人のコンピュータインフラを信頼しなければならず、危険だともいえる。
しかし、保証や実用的なツールが次第に登場してきており、移行の負担が和らげられることもあり得る。
Salesforce.comはサービス応答に関する詳細、現在発生している問題に関する具体的な情報を公開している。
たとえば、Googleは、Google Appsサービスのオンライン電子メールコンポーネントである「Gmail」がほぼ常時利用可能で、99.9%の稼働時間を割り込んだ場合、有料ユーザーのサービスクレジットを延長するとするサービス内容合意書(SLA)を提示している。
今後は、他のGoogle Appsに対してもSLAが提示される予定だ。
Google Appsのプロダクトマネージャーを務めるRishi Chandra氏は、「今のところ『Google Calendar』『Google Docs』にSLAはないが、早急にこれに取り組もうとしている」と述べている。Chandra氏によれば、Googleは「すべてのアプリケーションで同水準の信頼性を確保」したいと考えている。
Googleはクラウドコンピューティングの主要な支持者であり、その支援活動はユビキタスな高速ネットワークの構築にまで及んでいる。また、Yahooも最近、自社のクラウドコンピューティンググループを組織した。この動向には、コンピューティング業界で富の再分配が起こる可能性が秘められている。
クラウドコンピューティングは大きく2つのカテゴリに分かれている。1つはGoogle Apps、Yahooの「Zimbra」電子メールアプリケーション、「Zoho」オフィスビジネスソフトウェア、Adobeの「Buzzword」文書作成アプリケーション、Salesforce.comの「CRM」アプリケーションといったオンラインアプリケーションだ。もう1つは、「Amazon Web Services」、Salesforce.comの「Force.com」、および「Google App Engine」といった汎用の基盤で、顧客は自分たちのアプリケーションを実行することができる。
クラウドコンピューティングへの移行
SLAは、費用便益分析を行うCIOへのアピールとなる契約上の保証の一種だ。しかし、SLAには感覚的な要素もある。
7月8日のサービス停止中、Googleはこのステータス警告を表示した。
提供:CNET Networks
心理学的には、コントロールできていると感じることができれば、リスクにあまり不安を感じなくなることが、リスク分析の分野ではよく知られている。このように、人は、民間ジェット機でどこかに連れて行かれるよりも、渋滞している高速道路で車を運転する方が安心だと感じることが多く、2つの輸送形態の相対的な安全性は関係ない。
ゆえに、当然のことながら、クラウドコンピュータには、自分で自分のコンピュータを再起動できない、データセンターのサーバで赤いライトが点滅していないか確認できないといった懸念がある。
関連情報
-
米ヤフー、クラウドコンピューティングに向け新グループを設置 [From CNET Japan]
米ヤフーは、クラウドコンピューティングの中核技術に関わるさまざまな人材やチームを1つにまとめ、新しいグループとして立ち上げた。スケーラビリティと費用対効果を両立させるコンピューティングインフラの開発を担当するという。 - Yahoo
- Adobe Systems
- Salesforce.com
- Amazon
「レポート」 のバックナンバー
-
サイトのマルウェアをプロアクティブに監視--元グーグル社員の新セキュリティサービス
ブラウザやウェブアプリケーションを狙う攻撃が増えており、それに伴い、マルウェアをホストしているとしてブラックリストに掲載されるサイトも増えている。この問題に対処するためのサービスを、元グーグル社員らが設立した新興企業が開始した。 -
再生可能エネルギーをもっと--米研究報告に見る利用促進への必要事項
-
オラクルのサン買収--予測される「統合」という課題
-
時代遅れのウェブ技術コンセプト--何とかしてほしい5つのケース
-
企業へのクラウド導入--グーグルらが進める「信頼される」ための施策
- レポート 一覧へ »
ZDNet Japan Essential Topic
-
Windows 7の情報満載
MicrosoftのすべてがわかるZDNet Japanの総力特集 -
バズワードの裏側みてみませんか?
SaaSにSOA、仮想化までビジネス視点からバズワードを斬ります
企画特集
-
マネジメントの「コラム」と「コネタ」
今日のキーパーソンは誰? -
そのストレージで仮想化に対応できますか?
メリット盛りだくさんのサンのオープンストレージ製品 -
中小企業のセキュリティリスクとは?
導入する側・される側 得するセキュリティ製品 -
SOA、BPM、SaaS −今、企業に必要なこと
ビジネス・アプリケーションの今を網羅する特設サイト -
【徹底対談】運用管理ツールの賢い使い方
市場背景〜仮想化管理までアナリストが解説! -
◆エン・ジャパン厳選求人☆毎週更新◆
不況下でも急成長の秘訣とは?注目企業の取組みも公開! -
ストレージメディア特設サイト開設
仮想化環境において最適なソリューションを! -
仮想環境を実現するソリューション特集
仮想化導入時、こんなところ気にしてますか? -
セキュリティ&ユーザ事例【SIer Club】
最新のセキュリティ情報と提案事例が満載 -
今注目の「サジェスト検索」−デモ掲載中
システムのユーザビリティに革命を起こす技術とは -
ESBでIT投資の無駄を劇的に解消する
IBM IMPACT 2009を徹底レポート! -
パンデミック対策特集
2009年のパンデミック発生から再考する事業継続計画 -
ロリポップ!がリニューアル
【第1回】創業者の家入一真氏が語る誕生秘話!! -
集積度も性能も、業界最高水準のブレードPC
サーバの実装技術を、シン・クライアントへ応用 -
インターネット上の悪意を未然に防ぐには?
ブラウザに備わったセキュリティ機能を徹底解説 -
■ストレージ容量50%削減保証■
ネットアップによる削減保証キャンペーン実施中 -
サーバー監視・運用のコストを削減するには
エージェントレス方式を用いたパトロールクラリスで -
エンタープライズにおけるSUSEの強み
次世代データセンターの基盤は11だ。 -
サービス・ドリヴン・データセンター
コスト効果の高いデータセンター構築には?
ZDNet Japanからのお知らせ
- ご回答にはCNET_IDご登録が必要です。
-
17. Intel Threading Building Blocks
オライリーブックから出版されている「Intel Threading Building Blocks... -
18. Intel Integrated Performance Primitives
単に最適化コンパイラを使うよりもパフォーマンスを良好にするルーチン...
新着企業動向
-
解散総選挙がもう近い?自分党選挙対策本部で自分のポスターが作れます。
ホビーク -
After J-SOX 2年目の監査は甘くない!
NTTソフトウェア -
GMO-HS「アイル」、共用サーバー「Infinito」の機能を強化
〜 ディスク容量の大幅増強 や ...
GMOホスティング&セキュリティ -
セキュリティ・コンサルティング
NRIセキュアテクノロジーズ - 企業動向一覧へ»
サーバやOS、アプリケーションなどの世界ではオープンソーススタンダードが市場を牽引する現在、ストレージの世界でもオープン化の流れが始まっている。
幸い今回は弱毒性で大事には至らなかったが、まだ油断はできない。企業活動を停止すると、大きな経済的損害や社会的信用の低下を招いてしまう。 
