「2011年11月の薄型テレビの販売見通しは前年同月比80〜90%減。年末商戦を通じても60〜70%減が見込まれる」——。
全国の大手家電販売店のPOSデータを集計するBCNは、年末商戦における薄型テレビの需要予測を発表した。
2011年7月に東北3県を除いてアナログ放送が完全停波して以降、薄型テレビの売れ行きは急激に低迷している。
2011年6月の販売台数は前年同月比149.3%増、7月は127.4%増と、いずれも2.3〜2.5倍以上の売れ行きを見せていたのに対して、8月には一転して38.7%減と大幅な落ち込み。9月には51.8%減、10月には71.6%減と、月を追うごとに減少幅は拡大している。
とくに今年11月は、前年同月にエコポイント制度変更前の駆け込み需要があり、2009年10月比で5倍という販売台数となっていたため、その反動が最も大きく出ることになる。そのため、販売台数では前年同月の1割しか売れない水準になる可能性があるというわけだ。これは2009年11月の水準も下回ることになるという。
販売台数が減少しても、販売単価が上昇するわけではない。むしろ、薄型テレビの平均単価は依然として下落傾向にある。
2010年10月を100とした場合、最も売れ筋となっている30型台の薄型テレビは、この1年間で34.6%下落しており、実に3分の2の価格となっている。メーカー別で最も価格が安いシャープの場合、平均単価は3万7700円。東芝でも4万2500円となっている。
また、昨年10月に比べて販売構成比が倍増し、全体の約2割を占めている20型未満の価格帯でも、平均単価はこの1年で23.7%下落。20型台でも21.2%の下落、40型台でも24.3%の下落となっている。
薄型テレビと連動する形で、BD(Blu-ray)レコーダーの販売も縮小している。
BDレコーダーは、アナログ停波にあわせて2011年7月が販売のピークとなっており、前年同月比167.0%増と2.7倍近い成長率となったものの、8月からはやはりマイナス成長となり前年同月比10.2%減。さらに9月は15.6%減、10月は31.5%減と、徐々に落ち込んでいる。
BCNでは「年末商戦は前年同期比50〜60%減になる可能性がある」と、さらに需要が落ち込むと見ている。
BDレコーダーの場合、需要の反動に加えて、もうひとつ販売数量が落ち込む理由がある。
それがタイの洪水被害によるHDDの品薄を背景にした製品の供給不足である。