参加者の中には未だ導入検討中のユーザーもいれば、かなり仮想環境を使いこなしているユーザーもいた。導入の初期段階にある参加者からは、比較的将来像に期待を寄せたコメントも出てはいた。だが、導入経験の豊富な参加者からは、行き詰まり感のあるコメントが多かったのが印象的だ。
「ライセンス費にサーバ費用に、と積み重ねて考えると、単体でのサーバ購入とで、どちらが得なのかという比較になる」
「無料化しろとは言えないが、利用量にあわせて10段階程度のクラスをつくり、ボリュームライセンス的な体系を作ってくれてもいいのではないか」
仮想化の大きな目的として挙げられることの多いコスト削減だが、実はライセンス費が意外に高いという。これがまず批判にさらされた。特にミッションクリティカルなシステムを仮想化しようとする場合、セキュリティや可用性を追求して各種ソフトウェアを追加することになり、そのコストがかさむ傾向にある。
参加者からは上記のようなコストメリットのなさに加え、社内規定等による障壁も指摘された。金融系や政府関係などの非常にシビアな対応を求められるシステムの仮想化について、「規程で他システムと同居させてはならないと決まっているため、技術的な可否に関わらず手を出せない」と、ある参加者は実情を明かす。
実際にそうしたシビアなシステムを手がけたこともあるデータセンター事業者の参加者も「内部では物理的にサーバを分け、24時間リスクを負って監視するため高額の委託費が発生する。かなり割高ですね」と漏らす。
さらに金融機関の参加者が「見積をいくらとっても、安い価格が出てきたことはない。5年使うことを考えると、委託費などが非常にかさむ。自社で運用した方が絶対に安い」と声を荒げると、クラウド系の参加者からは一様に「それが正解です!」と強い賞賛の言葉がかけられていた。
経営層としては、クラウドのコストメリットに期待し「安くなるならばクラウドに移行したい」と考えたくなるだろう。だが実際には、十分なセキュリティ等を確保し、規程を満たせる環境を整えると決して安くはならないと、現場は理解不足を嘆いている。
参加者の声で、技術者自身の心理的な問題もあることがわかった。十分な可用性があるのか、重いシステムを動かしても大丈夫なのか。個人情報や機密情報を入れ込むことへの抵抗感も大きいようだ。ゲストOSに対するセキュリティは充実していても、ハイパーバイザ層に対するセキュリティは「軽快に使えるものが少ない状態」だ。これについても「軽く動くものがいい」との声があがった。
技術的な要件が揃った上でも、運用面での不安はつきない。たとえばライブマイグレーション機能について「ユーザー部門に了承を取らず、どんどん使っている。平日の昼間でもやっています」というコメントには「すごい!」、「それは攻撃的だ」という賞賛の声があがった。
実際に運用している参加者からは「全く問題がない」と言われても「やって文句を言われるのと、やらずに文句を言われるの、どちらがいいかと考えてしまう」となかなかアグレッシブになれない現場の心境も吐露された。このあたりに関しては、経験が蓄積される上で解決されるのかもしれない。
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