海上忍の戦略
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オンラインストレージをやめてVPNを使い始めたワケ
取材や打ち合わせなど外出が多い職業柄、出先から仕事場のPCに保存してあるファイルを取り出したい、という場面にはよく出くわします。
以前はファイルをオンラインストレージに置く方法も試してみましたが、ときおり同期しなければなりませんし、それを忘れがちなことが難点です。うっかり同期し忘れると、原稿が「フォーク」してしまい、収集がつかなくなることもあるのですよ。もうこの方法をメインにすることはないでしょう。
現在は仕事場にVPNサーバ搭載のルータを設置し、外出時にはPPTP接続で仕事場のLANに接続しています。概ね納得してはいますが、注文を付けるとすれば、ユーザー管理でしょうか。たとえば写真で容量がかさんだ原稿ファイル一式があるとして、私の仕事場のPCへアクセスしてダウンロードしてよと編集者に頼むとしたら、ルータの管理画面で編集者用アカウントを追加しなければなりません。ユーザーの管理は、PC側で統一できればありがたいのですけれど。
もう1つ気になることを挙げるとすれば、クライアント側で「接続」を意識しなければならないことですかね。セッションが中断すると再接続の手続きが必要になりますから、高速移動時など通信が途切れがちなときには、ああもういいや、と作業を後回しにすることも度々です。
これは私にかぎらずVPN特有の問題というか仕様ですが、携帯電話回線やIEEE 802.11bあたりの「ナロー気味」な通信環境では遅さが際だちます。通信が暗号化処理されているため当然といえば当然ですが、インターネット上のリソースにアクセスするときも含めすべてがVPN経由になりますから、暗号化の必要がないトラフィック、たとえばウェブブラウザでニュースサイトを閲覧する場面までもが遅くなってしまい、これまたストレスを感じるハメになります。
なにやらグチめいた内容になってしまいましたが、「原稿フォーク」の危険が付いて回るオンラインストレージには頼らないと決断した以上、VPNなりなんなりのリモートアクセスは自分にとって必須のサービスです。今後もうまく付き合って行かねばなりません。
海上忍(フリーランス ITジャーナリスト)
おもにUNIX系OSを対象として機能解説やレビュー、コラムなどを執筆。近年はbuilder by ZDNet JapanやSoftware Re:Sourceなど、ウェブメディアを中心に活動を展開。
著書は「Mac OS X ターミナルコマンド ポケットリファレンス」(技術評論社刊)など30冊以上。マイクロソフト社製品との付き合いはN-BASICにはじまり、MS-DOSやWindows NTなどのOS、ExcelやWordといったアプリケーションソフトまで広範囲に及ぶ。
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こちらでは、読者から寄せられた意見をピックアップして紹介します。
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新井悠さんの意見の中で、リモート環境での仕事が実現できたことにより、産休の奥様が「その時間だけは企業人としての顔を失わずに済んだ」という事例は、「なるほど」と思いました。
リモートオフィス系の話題だと、パンデミックの話題や、正社員の業務裁量に効果があるというトピックスも多いと思います。もちろんそれらも重要ですが、リモートオフィスは毎日9時-18時に勤務できる人が、場所を選ばす作業するための投資というより、何らかの事情があり、通常の勤務がとりにくい優秀な人材を業務に活用できるようになる、というのが企業にとって、そして社会にとって何よりのメリットなのかもしれません。
正直、リモートオフィスの環境構築や、他の方も指摘されている実際の運用ルール等の構築は簡単なことではありません。しかしながら、結果的にそれらのルールを構築することが、多様な人材を継続的に確保できるという企業競争力につながるのかもしれません。
弊社でも、事情により週3日自宅作業をしているスタッフがおります。一般の企業では難しい勤務体系だと思いますが、だからこそ、スタッフの満足度は高いですし、また、ほかの企業がアクセスできない優秀な人材を業務に利用できるという点で、リモートオフィスは我々のビジネスを支える重要なテーマだと思います。 -
基本的にはアクセスしたくありません。
昨今の情報統制の流れは、会社情報を自宅PCで編集処理保持することを禁止する流れにあります。自宅PCで作業をした結果、情報が流出したら目も当てられません。
P2Vを使用しない、怪しいURLにアクセスしない、ウィルス対策ソフトを最新の状態にするなど、どのような対策をしていても何らかの脆弱性をつかれ流出しない保証はありません。
会社資産での、社内セキュリティ規定を順守している限り、情報流出となっても社員個人の責任にはなりません。しかし自宅作業では個人の責任になるというリスクがあります。
また、社外から必要な状況になる場合は、アクセス用の会社資産のモバイル端末とVPNアカウントが支給されます。
もし社外からのアクセスが必要なのであれば、会社の情報システム部門がアクセス規定を作成し、アクセス方法を準備し一定水準を守れる環境を会社が提供すべきだと思います。
会社が提供しないのであれば、社員は社外からアクセスする必要はないと思います。必要なのであれば、もし業務として命じられたのであれば書面で命令書を受け取ったうえで行わなければ今の世の中どのようなリスクをもつことになるのやら・・・。 -
緊急のトラブル対応など必要性はあります。また、自宅で突然の思い付きをメモしたいこともあります。
現状は、専用端末(接続用USB)のみがアクセス可能ですが、
小生は持っていません。
思いつきは、会社の自分宛にメールをしておいたり
手帳へのメモで対応しています。
トラブルの時は、あきらめて出勤します。(涙)
各分野の賢人と、読者の意見が集う6つのテーマ一覧をぜひご覧ください。