甲元宏明の戦略
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日本企業はデスク業務の生産性向上に真剣に取り組むべき
欧米企業の人々と一緒に仕事をすると彼らのビジネススピードに感嘆することが多いです。日本のホワイトカラーの生産性が低いとよく言われますが、その指摘は正しいと思います。それは、ツールとかオフィス環境の問題ではなく、一人一人のモティベーションとか意識の問題でしょう。非常に大ざっぱな言い方をすると、欧米のビジネスパーソンはビジネス成果指向の人が多いのです。このビジネス成果指向というのは、人事考課上の成果主義とは全く違います。欧米の人々は、常に最高のパフォーマンスで成果を上げないとプロフェッショナルとはいえない、という意識が高いのです。
もちろん、日本にもそんな意識を持つ人は多くいると思いますが、全体的に眺めると日本は成果指向よりも手順指向のような気がします。ビジネス成果やスピードよりも、社内ルールや慣習を守ることを是とする人が多いのでは。例えば、自社ウェブサイトの数十秒の検索時間に我慢できない人が、自分が関わっているプロジェクトの稟議に数カ月かかっても、それは上司の問題としてなにもアクションを起こさないことも多いのではないでしょうか。ITツールでファイル転送やウェブアクセスのスピードが上がっても、ビジネススピードや生産性が向上するとは思えないのです。
Windows 7全面採用計画を持つ企業にはBranchCacheは魅力的
とは言っても、小規模または遠隔地でWAN遅延が大きい拠点に対して、本社と同じような感覚でファイル転送やウェブアクセスが可能になるのは魅力的です。ファイルサーバの一元化を進めやすくなります。また、クラウドをはじめとするインターネット利用の管理・監視のためにファイアーウォールの一元化も実現しやすくなります。ITRの国内市場調査でも、WAN最適化装置の売上げが非常に伸びていることがわかっていますが、このような背景によるものでしょう。
ITRの顧客には、Windows VistaをスキップしてWindows 7で全クライアントPCを置き換える計画をもつ企業が多く存在します。そのような企業には、BranchCacheは大変魅力的でしょう。これまで、WAN最適化装置のような専用装置で実現していた機能が、Windows 7とWindows Server 2008 R2で実現するのですから。しかし、Windows 7以外のWindowsや他OSが混在する環境では、BranchCacheの価値は半減します。Windows Vista、2000、Mac、Linux対応のBranchCacheクライアント・ソフトがあれば嬉しい企業も多いのでは?ちなみに、ITRもその企業の1つです。
甲元宏明(株式会社アイ・ティ・アール シニア・アナリスト)
大阪大学大学院 工学研究科を修了後、三菱マテリアル株式会社に入社。新素材の研究開発に携わり、1988年米国イリノイ大学の客員研究員として渡米。帰国後、国家研究プロジェクト等の研究開発に携わりながら、研究関連の各種システムを開発。その後、情報部門に移り多くのITプロジェクトに携わる。2002年より当時国内では希有であったアジャイル型開発プロセスを活用して業務改革を主導した。また欧州企業との合弁事業においてグローバルIT責任者として、IT戦略の立案・推進を行った。現在ITRでは、IT戦略・ITアーキテクチャ・開発方法論・開発言語・クラウドコンピューティング・SaaS・オープンソース・ネットワークなどを担当。工学修士。
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