吉田実央(けろ-みお)の戦略
-
バラバラのデータ授受をBranchCacheで一本化できると期待
メール、IM、サービス以外に良い手段が見つからない現状
各種コンテンツを受け渡す際、私の場合はメールでやり取りするケースが多いのですが、必要に応じてOffice SharePoint ServiceやSkyDrive、Office Live Workspace等のクラウドサービスも活用しています。また、受け渡す相手が少人数でセキュリティ的にも問題のないコンテンツであれば、Windows Live Messenger、IP Messengerを使って受け渡しを行うこともあります。
通常、社内のメンバーにコンテンツを受け渡しする場合は、Privateサーバに特定のフォルダを共有し、受け取って頂くことが多いのですが、本社←→支店間の受け渡しの場合は、やはりメールやWindows Live Messenger、IP Messengerを使用しているのが実情です。ファイル等のコンテンツ受け渡し方法については、今まで様々な方法を試してきましたが、「これだ!」と思える方法が確立できておらず、またこれらの要望に似合ったツールに巡り合えていないのが現状です。
BrancCacheに期待も、将来を見据えた計画が必要
昨今、ハードウェアやネットワークの普及に伴い、取り扱うコンテンツサイズも肥大化してきましたが、ファイルの取り扱い方法については、あまり進歩していないのではないかと思います。最近、社内でも業務に必要な5GB程度のファイルを専用リモートクライアントでダウンロードしようとしたところ、帯域の細さも影響し、60〜90分もかかってしまった……なんてことがありました。その間、専用リモートクライアントで別の作業が行えず、スピーディな業務運用に支障をきたしてしまったことがあります。
このような苦い経験から、圧縮率の高いファイル圧縮ソフトを使用したり、もしくは、HTTPやFTP等、転送用プロトコルに対し圧縮可能なツールを導入する、または、ウェブベースでのやり取りであればキャッシュを有効化する等、これまで様々な方法を試行錯誤しながら実践してきましたが、やはりどの方法も一定の効果を上げるのみで、業務を抜本的に改善できる打開策とまではいきませんでした。
上記の問題点を解消するために、Windows 7とWindows Server 2008 R2では「BranchCache」がサポートされたとのことですが、「BranchCache」の登場により効率的なコンテンツ受け渡し方法を一本化できるのではないかと期待しています。
その一方で、「BranchCache」の導入には、セキュリティやネットワークの整備だけではなく、サーバやクライアントへの負荷リスク、導入済みソフトウェアに対する影響度についても調査、検討する必要がありますので、決して導入が容易だとは言えない問題もあります。将来性を考えビジネスの効率化と合理化を目指すか、もしくは、導入費用面、インフラの問題で現状維持を選択せざるを得ないのか――企業によっても意見が分かれるところではないかと思います。
吉田実央(株式会社アロウズテクノロジーズ)
2009年12月まで、フリーのITエンジニア/テクニカルライターとして従事したの ち、2010年1月に株式会社アロウズテクノロジーズに入社。主にDynamics CRMやASP.NETを活用したソリューション構築を手がけている。Microsoft MVP for ASP/ASP.NET (Jan 2008 - Dec 2010 )受賞者。
オンラインでは、「けろ-みお」もしくは「kero_mio」のハンドル名で活動している。技術系コミュニティである「techbank.jp」を運営するかたわら、同サイト内において、マイクロソフト製品、.NET系プログラミングに関する技術情報を発信している。
主な著書は「はじめてのVisual Studio 2008 (TECHNICAL MASTER)」(秀和システム)、「Microsoft .NETで考察するエンタープライズソリューション構築概要」(EnterpriseZine/翔泳社)、「サーバーサイドスクリプト500の技」「C/C++ 300の技」(技術評論社:共著) など。
-
日本企業はデスク業務の生産性向上に真剣に取り組むべき
欧米企業の人々と一緒に仕事をすると彼らのビジネススピードに感嘆することが多いです。日本のホワイトカラーの生産性が低いとよく言われますが、その指摘は正しいと思います。それ...(続きを読む)
-
ビジネスの最前線「ブランチ」のITはもっと真剣に考えられるべき
近年、マイクロソフト製品は「ブランチオフィス」のサポート機能が強化されている。「ブランチ」を「支社」と翻訳している文書が多いが、イメージ的には「営業所」の方が近いだろう。営業所には...(続きを読む)
-
必要な情報はクラウドに配置
第1回の問いかけである「社外から社内の情報にアクセスしたいことはありませんか?」の回答「セキュリティと利便性はトレードオフ」の通り、フィードパスでは日常的...(続きを読む)
-
バラバラのデータ授受をBranchCacheで一本化できると期待
各種コンテンツを受け渡す際、私の場合はメールでやり取りするケースが多いのですが、必要に応じてOffice SharePoint ServiceやSkyDrive、Office Live Workspace等の...(続きを読む)
-
分散拠点のネットワーク化は常に/既に/今も課題
流通や建設など、地域に分散して展開する必要のある業種では、支店や建設現場などをどうネットワーク化するかがつねに課題だったという話を、取材などでよく聞きます。一般化していえば、サーバ管理者や...(続きを読む)
-
情報共有のみを目的にツールを導入してはいけない理由
生産性の向上を図る上で、チームもしくは組織での情報共有が重要な要素であることは言うまでもありません。組織においては、情報共有や情報処理をより効率的な形で行い、そこで作り出された時間をより創造的な活動...(続きを読む)
-
社内回覧を例にBranchCacheを説明してみる
かつて会社勤めをしているとき、1人1台のPCなど「とんでもない!」というアナログ全開の時代ですが、部内での連絡事項は「回覧」が基本でした。部員の名前が(もちろんヒエラルキー順に)書か...(続きを読む)
-
意外にバカにならないダウンロード時間
自宅にあるメインマシン、モバイル用のノートPC、出張時のメインマシン用に使うMacBook Proと、複数のPCを併用しているとデータの同期方法で悩ましい。テキスト原稿自体はDropboxを使うことで同...(続きを読む)
こちらでは、読者から寄せられた意見をピックアップして紹介します。
各分野の賢人と、読者の意見が集う6つのテーマ一覧をぜひご覧ください。