新野淳一の戦略

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    新野淳一 (「Publickey」 Blogger in Chief)

    分散拠点のネットワーク化は常に/既に/今も課題

    分散拠点のネットワーク化は常に課題だった

     流通や建設など、地域に分散して展開する必要のある業種では、支店や建設現場などをどうネットワーク化するかがつねに課題だったという話を、取材などでよく聞きます。一般化していえば、サーバ管理者やネットワーク管理者をおくほどでもない規模の拠点に対して、どのような方法でネットワーク経由でサービスを提供するのが効率的なのか?という課題です。

     10年前からこれが得意だったのがロータスノーツでした。独自のレプリケーション技術を内蔵していたノーツは、サーバのデータベースをレプリカとしてローカルに持つことができ、またレプリカのための制御もうまくできていたため、ネットワークの不安定なところ、細いネットワークしかないところでも、レプリカの機能を活用することで情報の共有インフラとして活用することができました。

     安価な接続方法としては、普及の始まったADSLもしくはISDNと、安価に出回り始めた家庭向けのブロードバンドルータを組み合わせる事例などは比較的多かったようです。

    BrancCacheはウェブ時代の解決策となるか

     現在では携帯電話やADSL、光ファイバなどの普及が進んで回線状況は数年前と比べても改善されてきているとはいえ、ネットワーク管理者やサーバ管理者がいない環境でいかに低コストで快適なネットワーク接続環境を実現するかという課題がなくなったわけではありません。

     技術的にはいまでもキャッシュやレプリケーションの技術は、回線の不安定さを補う技術として大事なポイントですし、トラフィックを減らしてWANのコストを下げることにも使えます。そして理想的にはそれがどのアプリケーションからでも利用できるインフラとして、ネットワークにビルトインされていると望ましいでしょう。

     Windows 7とWindows Server 2008 R2で可能になるBranchCache機能は、こうした条件を満たしてくれるものとして期待できそうです。OSを新しくする必要があるものの追加費用がいらず、アプリケーションからも透過的(SMBとHTTP/HTTPSプロトコルが対応のようですが、最近はウェブアプリケーションが増えていますし)に見えるなど、使いやすそうです。

    新野淳一(「Publickey」 Blogger in Chief)

    月刊誌の編集、フリーランスを経て、2000年に(株)アットマーク・アイティの設立に参加。2008年に@IT発行人を退任し、現在はPublickey編集長/Blogger in Chief。

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【識者に聞く】データの効率的な受け渡しと生産性の向上にBranchCacheは効くか?
企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部