甲元宏明の戦略
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企業利用はますますサーバ/クラウド・セントリックに
Windows 7の新機能リストの中で、最初に「おっ、これは!」と思ったのはSSDへの対応です。私が常時携帯している業務用ノートPC(VAIO TZ・Windows Vista)のCドライブはSSDなのですが、HDDに比べても動作は早くありません(SSDが古いということもあるのかもしれませんが)。デフォルトでONになっているデフラグを切っても、あまり早くないのです。詳細にテストしたわけではないのですが、これはWindows VistaがSSDに最適化されていないからでしょう。Windows 7はSDDの性能を十分に引き出してくれるようなので、期待大です(まだ7にアップグレードしていないのです)。
SSDの低価格化も相まって、今後は、CULVノートやネットブックなどのようなダイエット・モードのWindows 7 ノートPCが業務利用の中心になるでしょう。そして、これらのクライアントPC(以降、PCと略します)は単なる端末となっていくと思います。PC側で実行するのは、ブラウザとOfficeだけで、その他は社内サーバかパブリック・クラウド(以降、クラウドと略します)上で、データ保管やアプリケーション実行がなされる、サーバ/クラウド・セントリック化に進むでしょう。このような用途だとPCのストレージ容量は小さくて済むので、小さな容量のSDDだけを搭載したCULV/ネットブックがメインになっていくでしょう。
サーバ/クラウド・セントリックとは、たとえば次のようなイメージです。
- 企業内データはすべて社内サーバに保管
- 古いクライアント・サーバー・アプリケーションなどのレガシーアプリケーションは、サーバの仮想環境下で動かす
- 社外とのデータの交換はクラウドを利用
- 電子メールはクラウドを活用し、ノートPC・スマートフォン・携帯のいずれの端末からいつでもアクセス可能
DirectAccessを用いたトランスペアレントな社内サーバ・アクセスとクラウド上のサービスを利用することにより、本当のユビキタス・コンピューティングが実現可能な時代になってきたと言えるでしょう。そのためにも、アイデンティティ管理、統合ログ管理などのセキュリティ基盤がますます重要となるでしょう。
おっと、忘れていました。PC上で動かすアプリケーションは他にもありました。ソリティアなんかのバンドル・ゲームです。ビジネスパーソンの昼休みのお供ですから。
甲元宏明(株式会社アイ・ティ・アール シニア・アナリスト)
大阪大学大学院 工学研究科を修了後、三菱マテリアル株式会社に入社。新素材の研究開発に携わり、1988年米国イリノイ大学の客員研究員として渡米。帰国後、国家研究プロジェクト等の研究開発に携わりながら、研究関連の各種システムを開発。その後、情報部門に移り多くのITプロジェクトに携わる。2002年より当時国内では希有であったアジャイル型開発プロセスを活用して業務改革を主導した。また欧州企業との合弁事業においてグローバルIT責任者として、IT戦略の立案・推進を行った。現在ITRでは、IT戦略・ITアーキテクチャ・開発方法論・開発言語・クラウドコンピューティング・SaaS・オープンソース・ネットワークなどを担当。工学修士。
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50名以下のベンチャーの社内システム(イントラネット)をWindows Server 2008 R2で、クライアントをWindows 7で構成することを前提に考えてみまし...(続きを読む)
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こちらでは、読者から寄せられた意見をピックアップして紹介します。
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Windows 7とWindows Server 2008 R2での組み合わせによる機能はいろいろ提供されている。
Windows XPと比べたときのWindows 7メリット、Windows Server 2003と比べたときのWindows Server 2008 R2のメリットは語ることができるしお客様に提案ができる。
だが、Windows Server 2008 R2とWindows 7の連携という観点からでは、語る言葉が見あたらない。その2つが連携することによって実現できることは、SIer企業として提供している既存製品でまかなうことができるので、その2製品を連携させる事のメリットで同時に2つを提案するっという姿は現実的ではないと私は思う。
Windows7はWindows7のメリットで、Windows Server2008R2はWindows Server2008R2のメリットで提案を行う。両者の連携によって生まれるメリットは付加価値的、付録的存在としか見えてこない。
各分野の賢人と、読者の意見が集う6つのテーマ一覧をぜひご覧ください。