横山哲也の戦略
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最大の利点はActive Directoryとグループポリシーの制御にある
Windows 7やWindows Server 2008 R2には多くの新機能が含まれる。従来のWindowsでは動作しないが、両者の組み合わせでのみ動作する機能も多い。しかし、こうした新機能に目を奪われては本質を見失う――本当に重要なことは、新機能のほとんどがActive Directoryとグループポリシーで制御できるということだ。つまり、Windows 7とWindows Server 2008 R2の最大の利点は、Active Directoryとグループポリシーが使えることだと言い切ってよい。
「USBメモリはBitLockerで暗号化」を全社に強制できるか?
たとえばBitLocker to Goを使わなくても、USBドライブの暗号化は可能だろう。しかし、「BitLocker to Goで暗号化されていないUSBドライブへの書き込みを禁止する」というルールを、全社のPCに簡単に強制できるだろうか。グループポリシーなら可能である。AppLockerにしてもBranchCacheにしても、似たような機能を実現する製品は存在するが、グループポリシーほど簡単には制御できない。Active DirectoryとグループポリシーこそがWindowsを使う大きな優位点なのだ。そして、Active Directoryとグループポリシーの最新版は、常に最新のWindowsに搭載される。
Active Directoryとグループポリシーはバージョンが上がる度に、利用者の要望を実現するように着実に進化している。たとえば、誤ってユーザーアカウントを削除しても、180日以内なら完全な状態に復旧できる機能(リサイクルビン)には、Windows Server 2008 R2が必要である。PowerShellによるActive Directoryサポートも、Windows Server 2008 R2が必要である。Active Directory管理ゲートウェイサービスをインストールすればWindows Server 2003や同2008のみでも利用可能だが、その場合は管理コンソールとしてWindows 7が必要である。ほとんど変化がないように見えるActive Directoryも、実は多くの拡張が行われているのだ。
また、Windows Server 2008とWindows 7から追加された「基本設定」は、従来のグループポリシーでは設定できなかったこと――たとえばファイルの配付やネットワークドライブの割り当てなど――も自動化できる(Windows XPおよびWindows Vistaではオプション)。
機能も品質も向上した新Windows OS
単にActive Directoryを使うだけであれば、Windows 2000でもWindows XPでも可能である。しかし、新しいバージョンのWindowsは着実に機能も品質も向上している。古いソフトウェアにあったような「機能は増えたがバグも増える」ことはない。「マイクロソフトの製品にバグはない」ということはもちろんないが、新バージョンの方がバグは少なく、対応も早いことは確かである。ぜひWindows Server 2008 R2とWindows 7で最新の環境を体験していただきたい。
横山哲也(グローバルナレッジネットワーク株式会社 取締役技術担当)
1994年頃からWindowsに関するプロフェッショナル向けトレーニングを担当、Windows NT 3.1以降の全てのバージョンを経験した。最近はWindows Server 2008 R2とHyper-Vを主に担当している。
グローバルナレッジネットワークが運営するウェブサイト「G-Notes: Global Knowledge SNS」で、ブログ「千年Windows」を執筆中。主な著書に「Windows Server 2003完全技術解説」(日経BP)、「ひと目でわかるMicrosoft Windows Server 2003ネットワーク設定・管理術」(日経BPソフトプレス)、「実践Active Directory逆引きリファレンス」(毎日コミュニケーションズ)。
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最大の利点はActive Directoryとグループポリシーの制御にある
Windows 7やWindows Server 2008 R2には多くの新機能が含まれる。従来のWindowsでは動作しないが、両者の組み合わせでのみ動作する機能も多い。しかし、こうした新機能に目を奪われては本質を見...(続きを読む)
こちらでは、読者から寄せられた意見をピックアップして紹介します。
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Windows 7とWindows Server 2008 R2での組み合わせによる機能はいろいろ提供されている。
Windows XPと比べたときのWindows 7メリット、Windows Server 2003と比べたときのWindows Server 2008 R2のメリットは語ることができるしお客様に提案ができる。
だが、Windows Server 2008 R2とWindows 7の連携という観点からでは、語る言葉が見あたらない。その2つが連携することによって実現できることは、SIer企業として提供している既存製品でまかなうことができるので、その2製品を連携させる事のメリットで同時に2つを提案するっという姿は現実的ではないと私は思う。
Windows7はWindows7のメリットで、Windows Server2008R2はWindows Server2008R2のメリットで提案を行う。両者の連携によって生まれるメリットは付加価値的、付録的存在としか見えてこない。
各分野の賢人と、読者の意見が集う6つのテーマ一覧をぜひご覧ください。