この連載では、ITインフラに関する基本的な用語や仕組みの考え方、ぜひ身につけておきたい知識などを解説していきます。特に、これからITシステムに携わる新人担当者に向けた内容となっています。
今回は、ITインフラの全体像やその中核を担う「サーバー」や「ストレージ」「ネットワーク」などを紹介します。「ITインフラって何?」という方でも理解できるように分かりやすく説明していきますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
そもそも「インフラ」って何?
そもそも「インフラ(インフラストラクチャー)」とは、「下部構造(インフラが下部、ストラクチャーが構造)」を意味しています。辞書的に言うと「生活や産業の基盤となる設備・施設」のことを指します。身近な例では、電気や水道、ガスなどが当てはまります。
また、「交通インフラ」「社会インフラ」「通信インフラ」「産業インフラ」という使われ方をしています。その中でも、「ITインフラ」は「IT(情報技術)システムの基盤となる設備」を表しています。
ITインフラを構成する要素を理解しよう
ITシステムは「アプリケーション」と「ITインフラ」の2つに分けることができます。アプリケーションが動くための基盤をITインフラが担っています。さらにITインフラは、主に「ハードウェア」と「ソフトウェア」の2つから構成されています。また、それぞれがさまざまな構成要素から成り立っています。
ハードウェアとは、「物理的に存在するコンピューター機器」のことを指します。代表的なハードウェアとしては、「PC(個人用コンピューター)」のほかにも、「サーバー」や「ストレージ装置」「ネットワーク機器」があります 。それぞれの機器については以降でより詳しく説明していきます。
一方、ソフトウェアは“形のある”ハードウェアとは違い、「コンピューターを動かすためのプログラムや命令を記述したデータのまとまり」のことを指します。コンピューターの基本的な制御を担当する「OS(オペレーティングシステム)」、OSとアプリケーションとの間に存在する「ミドルウェア」があります。それぞれについては以降の章でより詳しく説明していきます。
ソフトウェアもハードウェアと同様、さまざまな種類があります。OSであれば、PCなどでよく使われている「Windows」が有名ですが、その他にも「UNIX」「Linux」などが使われています。また、ミドルウェアには、アプリケーションの実行を管理する「アプリケーションサーバー」、ウェブページを管理する「ウェブサーバー」などの種類があります。
図1:ITインフラの全体像(BFT道場 チョイトレの教育資料より、以下同)
ITシステムの一般的な構成
このようにITインフラはたくさんの構成要素から成り立っています。先ほど「ITインフラはITシステムの基盤となる設備」と説明しましたが、ITシステムにも幾つかの種類があります。
一般的なITシステムの種類が「クライアント/サーバーシステム」です。この種類のシステムでは、コンピューターが「クライアント(サービスを受ける側)」と「サーバー(サービスを提供する側)」という役割に分かれて、相互にネットワークで接続する構成を取っています。クライアント/サーバーシステムでは、クライアントからの指示(リクエスト)を受けて、サーバーが処理を行います。その結果をクライアントへ返すというやりとりが行われます。
現在のクライアント/サーバーシステムは、多くのクライアントが「ウェブブラウザー」経由でサーバーとのやりとりを行う「ウェブシステム」が主流となっています。また、典型的なウェブシステムのサーバー側には「ウェブ3階層」と呼ばれる構成がよく使われています。
図2:システム構成の例