「日本型データサイエンティスト」が活躍--2018年までのデータ分析のビジネス活用動向

山田竜司 (編集部)

2013-11-25 07:30

 野村総合研究所(NRI)は11月22日、2018年度までに企業などでデータ分析のビジネス活用動向がどのように進展するかを予測した、「ITロードマップ」を発表した。NRIは、企業のデータ活用にはデータ分析の専門家である「データサイエンティスト」の存在が不可欠だが、日本企業では8%程度しか社内にその役割を担う人がいないと指摘。

 今後、コンサルタント的なスキルを持ちながら現場でデータから得た仮説を実行する能力を持つ「日本型データサイエンティスト」が登場することで、データ分析がビジネス展開に大きく貢献する成功事例が現れると予測する。

 また、米国で設置が進むという「最高データ責任者」(Chief Data Officer:CDO)や「最高分析責任者」(Chief Analytics Officer:CAO)を擁する日本企業が増え、データの管理や分析、展開を全社的なルールの下に統括しながら、既存の業務改善の域を超える戦略的なデータの活用が進むと予想している。

日本型データサイエンティスト現る

 多くの日本企業で、データ活用が検討されるものの、ビジネス上の成果につなげるまでの道筋が明確にはなっていない。その中で、一部の企業の個別プロジェクトで成功事例が現れ始め、日本企業に日本型データサイエンティストが必要であると認識されるという。

 日本型データサイエンティストは、一般的なデータサイエンティストのように、高度なデータ分析力を持った専門家というだけではなく、ビジネス現場での課題解決に向けた仮説を立て、それをデータ分析で検証し、事業部門に実行を働きかけていく存在だという。

 これは、トップダウンではなく、ボトムアップで検討が進められることが多い日本の企業で、特に必要な役割だとNRIは指摘している。

データガバナンスへの発展期

 NRIによると、2013年現在、すでに米国ではCDOやCAOを置く企業が増えつつある。この時期になると、日本企業でも、データ分析によってビジネス成果が得られる成功事例が出始め、データガバナンスのためにCDOやCAOが設置され、全社的なデータの管理・分析・展開が進むとした。

 2017年度以降は戦略的なデータ活用の普及期

 データガバナンスの下、自社内のデータや、ネット上および実世界での多彩なデータの分析や実証環境が「整備」されるとした。整備とは、データ分析によって見つかった施策の実証のために、例えば、店舗、顧客が利用する機器など顧客接点を、施策の仮説に基づいて変更できるよう実証環境を整備することとした。

 さらに、データ間の連係・融合技術の進化と外部のデータ提供サービスが活発化することにより、自社のデータと外部のデータを結びつけ、顧客に関する多面的で深い分析を行うことが可能になるという。社内外のデータを自在に連係させ、既存の業務改善の延長ではない新しい施策を展開するなど、データを戦略的に活用することができるようになるとしている。


データ分析のビジネス活用動向に関するロードマップ

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