デジタルビジネスで何がどう変わるのか--ガートナー予測で見る10の近未来

NO BUDGET 田中好伸 (編集部)

2014-10-22 13:07

 ガートナー ジャパンは10月21日、2015年以降にIT部門とユーザー企業に重要な影響を与えるという展望「Gartner Predicts 2015」を発表した。人間とマシンの長年にわたる関係がデジタルビジネスの登場でどうシフトしたかを検証し、人間とマシンの協力と成長というアイデアを包含した内容となっている。トップ10は以下の通り。

(1)2018年までにデジタルビジネスに必要なビジネスプロセスワーカーの数は従来のモデルの50%で済む一方、主要なデジタルビジネス業務は500%増える

短期予測:2016年までに、ポートフォリオ管理のスキル不足からデジタル変革イニシアティブの半数が管理不能になり、やがて目に見える形で市場シェアが失われる

 消費者の行動は、ソーシャルメディアとモバイルの急速な進化によって動かされいる。このような行動のトレンドとこれらをサポートするテクノロジで日常生活には大きな変化がもたらされると指摘する。

 例えば、冷蔵庫が食料品を発注し、ロボットが注文された商品をとりまとめ、無人航空機(ドローン)が商品をドアまで届けることで店員や配達ドライバーの必要性がなくなるという。この新しいデジタルビジネス環境で企業の雇用動態とともにビジネスプロセスは大きく変化し、すべての業種を通じて消費者と供給者の両方に対して高いコンピテンシが求められるようになるとしている。

(2)2017年までにアルゴリズムで考案された重大で破壊的なデジタルビジネスが登場する

短期予測:2015年を通じ、最も高い価値をもつ新規株式公開 (IPO) は、デジタル市場と物理的ロジスティクスを組み合わせることで、純粋に物理的な従来のビジネスのエコシステムに挑戦するような企業に関連したものとなる

 例えば、配車サービスのUberや宿泊サービスのAirbnbといった、グローバル市場を構築した企業に見られるように、世界の経済環境の機は熟し、デジタルによる破壊が起き、既存の交通機関やホテルのビジネスを脅かしていると表現する。これらの企業で、参加者が増えるごとに価値が高まる“ネットワーク効果”が実証され、自然の流れとしてこれらの企業による寡占化が進むことになると説明する。

 実際、このような動きの前には非常に複雑な規制や市場ダイナミクスが立ちはだかり、これらがコンピュータによる分析を受け入れる素地へとつながっていくと見る。このようなモデルの資産創出面での成功(創業5年未満の企業に対する数百億~数千億ドルに上る査定評価)は、資本投資にとって抗し難い魅力となるとの考えを示した。

(3)2018年までに、業務運用の総所有コスト(TCO)は、スマートマシンと産業化されたサービスによって30%削減される

短期予測:スマートマシンと産業化されたサービスを活用したマネージドサービスを商業的に提供するベンダーは2015年までに40社を超える

 時と場所、チャネルを選ばず、より迅速に、より安く、より質の高い製品やサービスを求める消費者のニーズは、デジタルビジネス革命を促進する要因になっているという。ビジネスプロセスと企業のバリューチェーン全体は、テクノロジが支える労働主導の環境から、人が支えるデジタル主導のモデルへとシフトするとの見方だ。

 デジタルな成果を解釈し、船のかじを取るという重要な役割は依然として人間が担う必要があり、スマートマシンが取って代わることはないだろうと説明。スマートマシンは労働力に取って代わるものではなく、独善性と非効率性を排除し、ビジネスのスピードを飛躍的に高める役割を果たすものになるという。

 消費者がビジネスの効率を高め時間管理を最適化する手段として、ネットとモバイルサービスを活用したいと考えている中、すべての業界がエンドトゥエンドのプロセスの簡素化、自動化、インテリジェント化を進め、手作業の介入を最小限に抑えながら消費者のセルフサービスを促進することで、カスタマーエクスペリエンスの質を高めようとしているという予測だ。

(4)2020年までにワイヤレス健康モニタリングテクノロジの普及で先進国での平均寿命が0.5歳延びる

短期予測:2017年までに、スマートフォンの活用で糖尿病のケアに伴う費用が10%減少する

 ウェアラブルモニタには、非常に大きな可能性があると指摘する。簡単なリストバンドで脈拍数や体温、その他さまざまな環境要因に関するデータを収集できるが、無線式の心臓モニタリングパッチ、スマートシャツ、またアクセサリに内蔵されたセンサなどでより高い精度、広い選択肢、快適性が着用者にもたらされるという。

 このようなワイヤレスによるデータ伝送はシンプルで、大規模なクラウドベースの情報リポジトリと関連付けることで制限されている行動を確認したり、ソーシャルネットワークと関連付けられることで実例に基づくアドバイスを受けたりすることが可能になるとの見立てだ。リモートモニタリングデバイスからのデータは、患者から医師へ継続的なアクセスを提供することになるだろうと考えている。

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