ドイツ ベルリンで開催されたIDS Scheer主催のイベント「Process World 2010」にて、ある日本企業が注目を集めた。NECが、革新的なビジネスプロセス改革を実現した企業として「Business Process Excellence Award」(ビジネスプロセスエクセレンス賞)を受賞したのだ。この賞は2005年に創設されて以来14社の企業が受賞しているが、日本企業が受賞するのは今回が初となる。
NECは自社のビジネスプロセス改革について、Process World 2010でもプレゼンテーション枠を設けて説明している。NEC 経営システム本部 業務プロセス改革部 シニアマネージャーの土`方雅之氏(ひじかた まさし、名字は「土」と「`」に「方」)は、「英語が苦手」と謙そんしつつも英語でプレゼンテーションをこなし、観客も熱心に土`方氏の話に耳を傾けていた。NECのビジネスプロセス改革の背景について、土`方氏と、同じく同社 経営システム本部 業務プロセス改革部 シニアマネージャーの須藤浩志氏に聞いた。
NEC 経営システム本部 業務プロセス改革部 シニアマネージャー 土`方雅之氏NECでは、連結経営管理のスピードアップと業務効率の改善、システムのTCO削減を目的に、基幹システムを全面的に刷新した。対象となったのは、国内外のNECグループ企業における販売、経理、資材の基幹業務システムだ。新システムには、これらの業務領域でのBPR(Business Process Re-engineering)により策定したグローバルに適用可能な標準業務プロセスを実装。標準システムには「SAP ERP」を採用し、標準業務プロセスの設計にはIDS Scheerのビジネスプロセス管理ツールソフトウェア「ARIS」を適用した。
NECがシステムの刷新と業務プロセスの標準化を進めた背景はどこにあるのか。土`方氏は、「これまでの成長戦略は部門ごとに最適化できていればよかったが、2008年ごろからビジネス環境が変わってきた。多くの企業がグローバル化を進め競争力をつけようとする一方で、経済環境の悪化や業界再編、コンプライアンスといった課題が持ち上がり、このような環境下でスピード経営と低コスト経営を両立させビジネスとITの迅速性を高めるためには、システムとプロセスの標準化が不可欠だった」と説明する。
また、須藤氏は「ビジネスプロセスとITシステムが全社レベルで結びついていなかった。部門の中では結びついていても、全社レベルで見るとバラバラだ。部門ごとにシステムを抱えていると、メンテナンスなども個別対応が必要となる。ビジネスプロセスを統一し、システムを集約しなければ、このような厳しい経済環境の中、勝つことができない」と話す。
NECでは、「2017年にはイノベーションの力を発揮して世界のリーディング企業となり、人間と地球にやさしい情報社会を実現する」というグループ全体のビジョンを掲げている。このビジョンに向かってまずビジネスパフォーマンスを改善すべく、2008年7月に「NEC_G1」(G1は「グローバルワン」の略)というプロジェクトを立ち上げた。まずはビジネスプロセスを簡素化するために組織を改革し、その後プロセスとITの改革に取り組んだ。これにより、経理システムが2010年4月にカットオーバーを迎え、2010年10月には販売や資材のシステムの改革も完了する予定だという。
プロジェクトを立ち上げてからわずか2年という短期間でこのような改革が実現できた要因はどこにあったのだろうか。土`方氏は、「組織、方法論、ツールの3点が重要だった」と語る。
組織面では、土`方氏と苦労を分かち合う須藤氏が「BPMを成功させるためには、経営陣の強いコミットメントとプロセス責任者のリーダーシップが必要だ」と語る。NECの場合、マネジメントのアプローチを変更するなどして経営陣や責任者がトップダウンでBPMを進めた。また、従業員がイノベーションに対して理解を示す必要もあるとして、グループ全体でBPMを進めるため世界中の拠点でワークショップを行ったという。
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