日本経済新聞で60年以上も続く名物コーナーに「経済教室」がある。経済にかかわる問題を経済学者や識者、専門家が解説する記事で、読売新聞グループ 代表取締役会長・主筆の渡邉恒雄氏も日課としてスクラップしているという。
その経済教室に11月11日、「クラウドコンピューティングと企業の対応 IT基盤の再構築急げ」と題する論考が掲載された。東京大学教授の元橋一之氏による解説はクラウドコンピューティングをめぐる現況を端的にまとめ上げ、企業や政府にクラウドの活用と競争を提言する内容だった。
折しも同日、筆者は自社主催のイベント「プライベートクラウドで業務改革」の打ち合わせのため、基調講演に登壇して頂く全国農業協同組合中央会(JA全中)の佐藤千明氏を東京・大手町に訪ねていた。
佐藤氏とはメールで連絡を取り合ってこそいたが初対面の間柄。二人だけで打ち合わせを進める可能性も考え、筆者は冒頭に挙げた経済教室の切り抜きを持参し、これを話の掴みにしようと考えていた。
しかし、私たちは同じものを読み、同じように考えていたようだった。会議室に通され挨拶を終えた筆者は鞄から切り抜きを取り出し、佐藤氏が抱える資料の一番上には経済教室のコピーが置かれていた。
私たちはひとしきり経済教室をネタに盛り上がったが、話題はすぐに基調講演の内容へ移る。
話はこうだ。JA全中は農業協同組合(JA)の組合員などが利用するポイントを管理するために「JAポイントシステム」を構築している。
説明では「組合員などが利用するポイント」と一言ですませてはいるが、JAグループは正組合員を約500万人、准組合員を約500万人を擁し、全国各地に733のJAを持つ巨大組織だ。加えて、業務範囲も幅広い。経済事業として地域密着型スーパーマーケット「Aコープ」などを展開し、信用事業としてJAバンク、保険事業としてJA共済を運営するなど、非常に多岐にわたる。
また、JAグループではサービスを利用した際にポイントを発行するが、ポイント付与の条件もそれぞれ異なる。定期預金を新規に開設する場合、正組合員と正組合員の家族ではそれぞれポイントの付与率が異なるのだ。
一方、サービスを提供する側の各JAでは、それぞれの戦略に応じてポイントキャンペーンを展開したり、ポイント付与対象事業を追加したい場合もあるだろう。
一般消費者や組合員といったユーザー、JAというユーザー、各県に設置された電算センタというユーザーに対して、それぞれのニーズに応じたポイントサービスを提供する必要があったのだ。
編集部はJA全中がNECと構築した「JAポイントシステム」を非常に大規模なプライベートクラウドであると受け止め、今回、基調講演を依頼するに至った。しかし、佐藤氏は「JAポイントシステムはプライベートクラウドではない」と言い切る。
「そんなこと言われても、頼んだこちらが困ります」と私は言うが、佐藤氏の言い分はもっともだった。それはクラウドコンピューティングの定義に関する佐藤氏のこだわりではなく、JAポイントシステム、ひいてはJAグループの情報システムの未来の姿だった。
基調講演ではJAポイントシステムの概要、特徴、検討・開発経過、運用管理体制だけでなく、JAポイントシステムが今後目指すサービス、JAグループの今後の情報システムの動向が紹介される。
なぜJAポイントシステムはプライベートクラウドではないのか?JAグループの情報システムの今後どのように展開するのか?――佐藤氏の口からその未来が語られる。
繰り返しになるが、朝日インタラクティブは11月26日にイベント「プライベートクラウドで業務改革」を開催する。既にお申し込み済みの読者の方は明日、是非会場まで足をお運び頂きたい。また、応募多数のため関係者席を一部開放、本日10席ほどを確保している。専用ページで申し込みを再開しているので、ご興味のある方には是非ご来場頂きたい。
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