2011年の日本経済は、国内だけでなく海外での生産拠点まで大規模な自然災害に見舞われ、甚大な打撃を受けた。サーバや重要なデータの安全確保、二重化など、事業継続計画(BCP)や災害復旧(DR)施策の実行は急務となっている。
このような需要をにらみ、マレーシアでは国策としてデータセンター誘致の取り組みを積極化している。データセンターをはじめとするマレーシアのIT政策の現状とはどのようなものなのか。
マレーシアは面積が約33万平方キロ。日本の9割ほどだが人口は2830万人であり、日本のおよそ22%だ。1980年代までに組み立てや製造などを中心に工業化が進んだが、90年代に入ってから転機を迎える。供給力の規模や人件費などの点で、もはや中国やインドに対して勝ち目がないことが明らかになったからだ。
95年頃からサービスやソフトウェアをはじめとする知識集約型産業を基盤とする経済への移行を目指し、96年にはMSC(Multimedia Super Corridor)構想を策定した。さまざまな情報や技術が流通する「マルチメディアのスーパーコリドー」を首都クアラルンプールを中心とした地域に構築し、IT推進のための中核とすることが使命だ。
MSCの促進や政府機関と企業の橋渡しなどを担うため、マルチメディア開発公社(MDeC:Multimedia Development Corporation)が設立されている。MSC指定地域にある企業をサポートするほか、政府に対する政策助言やIT運用標準を策定するなど、多面的な活動で構想の具現化に努めている。
マレーシアはMSCを機軸として、2020年には技術先進国の一員に名を連ねることを目標としている。MSCはフェーズ1(1996〜2003年)で全世界から50社の企業を集めた。フェーズ2(2004〜2010年)には250社に拡大、企業収益は6504億円から2兆6000億円へと4倍増した。

MDeCでCorporation Communications部門のディレクターを務めるVijayaratnam T.氏は「2010年にはMSCが国のGDPの1%を占めるまでになった」と成果を振り返る。
フェーズ3は先進国入りを狙う2020年までの期間であり、ITのハブになることを図っている。マレーシア政府は計画達成の起爆剤として、データセンターの集積化を柱とすることを決めた。現在50万平方フィートに留まるデータセンター総面積を、この期間に500万平方フィートにまで拡大させる意向だ。
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