アイネット、仮想化サービス基盤にブロケードの「VDX」を導入

田中好伸 (編集部)

2011-05-20 19:42

 ITサービスプロバイダーのアイネットは、提供する仮想化オールインワンサービス「VAiOS」のネットワーク基盤に10ギガビットイーサネット(GbE)スイッチ「Brocade VDX 6720」を採用している。ブロケード コミュニケーションズ システムズが5月19日に発表した。

 VMwareベースのVAiOSは、仮想マシン作成や構成変更、仮想環境監視、リソース監視、バックアップなどの仮想化運用代行センター「VOC」サービス、PaaS連携型クラウドサービス「EASY CLOUD」で構成される。VOCとEASY CLOUDを通して、仮想化システムの設計から構築、運用監視、プライベートクラウドサービスをワンストップでユーザー企業に提供しているという。

 アイネットでは、より多くのユーザーニーズにあった仮想化プライベートクラウドサービスを提供するために、分散並列処理フレームワーク「Hadoop」とRESTインターフェース方式を採用したストレージサービス「CloudStor」とEASY CLOUDの上で展開するDaaS「VIDAAS」をVAiOSのラインアップに加えている。

 VAiOSが稼働するネットワークを最適化するためには、従来のネットワークでは対応できないさまざまな課題が存在したという。高度に仮想化されたマルチテナントの環境では、これまでにないレベルの帯域や可用性が求められるという。また、仮想化の活用が進む中でネットワーク機器の数が増え、管理が複雑化するという課題もあったとしている。

 こうした課題を受けてアイネットでは、従来のネットワークが抱える課題を解決するためにネットワークアーキテクチャの刷新を検討。仮想化やクラウドの環境に最適化された、新しいネットワークの形として注目されている「ファブリックアーキテクチャ」を実現するために、VDX 6720の導入を決定したと説明している。

 アイネットはVDX 6720に注目した理由としてまず「Spanning Tree Protocol(STP)」を排除できる点を挙げている。従来のネットワークではSTPを利用してループ状にネットワークを形成して「アクティブ-スタンバイ」の構成を取ることが一般的であり、そのためにどうしても瞬間的に遅延が発生したり、ポートの半分を利用することができないという非効率性の問題があったとしている。

 VDX 6720の場合、ファブリックを構築することでマルチパスを実現して、全ポートをアクティブ-アクティブで使用できることに加えて、ファブリックを自律的に形成するインテリジェンスを備えることで、より高い可用性を実現できるという。設定フリーでファブリックへの新しいスイッチの追加や削除ができ、複数のスイッチを1台のシャーシとして管理できるなど、管理を簡素化するための機能も搭載しており、こうした点も製品選択時の重要なポイントと説明している。

 アイネットは新規で構築されたサーバ接続のための“Top of Rack”にVDX 6720を2台導入して、最大利用可能な60ポートのうち、40ポートで稼働させている。今後は新規のサーバ増強時にあわせてVDX 6720を増やしてイーサネットファブリックを構築していく計画を立てている。

 将来的には統合率を高めて、ブロケードが発表している、仮想スイッチ機能のサーバからのオフロードを可能にする、新しいサーバ接続機能「Virtual Access Layer(VAL)」を採用して、サーバの可用性を高め、仮想マシンごとにサービス品質制御(QoS)のレベルを変更したり、Fibre Channel over Ethernet(FCoE)プロトコルを導入してLANトラフィックとストレージトラフィックを集約するといった、より一層柔軟な運用環境への拡張も視野に入れているとしている。

 ブロケードは2010年11月にVDX 6720を発表。今回が日本で初めての導入になるという。

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