日本IBM、データベース新版「DB2 V10.1」--行と列でアクセス制御、圧縮機能も向上

田中好伸 (編集部)

2012-04-10 15:17

 日本IBMは4月10日、RDBMSの新版となる「IBM DB2 V10.1」を発売した。税別のライセンス料は66万9800円、4月30日からダウンロードできる。

 DB2 V10.1では、新機能として「Row and Column Access Control(RCAC)」を搭載している。従来であれば、表の行や列ごとでしか制御できなかったアクセス制御が行と列の両方でも制御できるようになり、個々のデータに対してもアクセス設定できるようになっている。クラウド環境でのDB共有で、プライバシーや機密データの保護に貢献できるとしている。

 従来から提供されている、組織の階層構造にあわせてアクセスを制御する「Label Based Access Control(LBAC)」とRCACを組み合わせることで、より強固な情報セキュリティを実現できるという。これらの機能は、DB2のすべてのエディションで有償オプションを購入することなく、基本機能として提供される。

 データ圧縮効率を高め、ストレージ容量を削減する、新しいデータ圧縮機能「アダプティブ圧縮」も提供される。DBの1つの表では、複数ページにわたって格納されたデータから構成されている。前版のDB2 V9.7ではページごとの圧縮機能だけだったが、DB2 V10.1では、ページごとに圧縮した後にさらに表全体で圧縮することで、圧縮効率が高まるという。IBMの実験では、前版はが54.1Gバイトを21.2Gバイトとデータ容量を約40%圧縮。新版では8.4Gバイトと約16%にまで圧縮できたと説明している。

 データ参照・更新速度向上への対応も強化している。使用頻度に応じてデータを格納するストレージシステムを選択できるようになっている。使用頻度の高い表のデータはアクセス速度の高いストレージシステムに格納し、使用頻度の低い表のデータはアクセス速度の低いストレージに格納するように設定でき、性能を最適化できるという。

 DB2 V10.1には、現在のデータだけでなく、過去に入力したデータとの更新履歴の参照、将来にわたって変化するデータの入力ができる「タイム・トラベル参照」機能も搭載されている。

 キャンペーンやセールなどで季節的に変動する商品の価格や予算需要など時間経過で変化する、将来のデータを事前入力でき、簡易的な分析ができる。業務分析などの場合でも、過去の財務データから売り上げや利益の推移などを標準的なSQLを使用して参照できる。

 従来であれば、複雑なプログラムを作成してアプリケーションに実装しなければ実現しなかった時系列データの管理を、データベースが実現することで、ユーザー企業の負担を削減できるとしている。

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