大林組とNECは10月29日、NEC独自のデータ分析技術「異種混合学習」を活用し、ビルのエネルギー需要を予測する実証実験を共同で実施したことを発表した。データから夜間や祭日などの規則性を発見し、24時間後や1カ月後などの電力使用量、熱量を予測できたという。
異種混合学習は、混在するデータ同士の関連性から多数の規則性を自動で発見し、対象となるデータに応じて参照する規則を自動で切り替える技術。従来の機械学習では分析が困難な、状況に応じて規則性が変化するデータでも、高精度な予測や異常検出が可能という。
共同実験では、大林組のエネルギーを供給、制御する技術とNECのデータ分析技術を組み合わせた。実験では、大林組の技術研究所本館の過去2年間の電力使用量、空調に活用した熱量(温水と冷水)、気象、営業日、日付、在籍者数などの各種データを基に、将来の電力使用量と熱量を予測した。
実験の結果、技術研究所本館で収集したデータから冬期営業日の昼間や夜間、祭日などで異なる規則性を自動的に発見。24時間後や1カ月後などの電力使用量や熱量を、人手でデータを分割することなく予測できたという。
この結果を踏まえ大林組は、2014年11月の導入を予定している技術研究所内のすべてのビルを対象にしたエネルギースマート化プロジェクトでNECのエネルギー需要予測システムを採用する。同システムは、エネルギー管理システムの構成要素になる。
NECは、異種混合学習技術を活用した顧客との実証実験を進めるとともに、同技術を用いたエネルギー需要予測サービスをメニュー化する予定。