エンタープライズ分野において今やOSSでダメという弱点は見あたらない--NTTデータ

山下竜大(編集部) 2007年03月12日 08時05分

 日本を代表するシステムインテグレーター(SI)の一社であるNTTデータ。同社は、ビジネスの原点である「お客様本位」を企業理念に、「お客様にご満足いただける情報システムの提供」に全社を挙げて取り組んでいる。その取り組みのひとつがオープンソースソフトウェア(OSS)分野の普及促進である。

“フルオープンソース”が取り組みの基本

 NTTデータでは3年前より、OSSを推進する部門を設立。現在「オープンソース開発センタ」と呼ばれているこの組織は、OSSによりシステムを開発する部門と、OSSの検証およびサポートを行う部門の2つの組織で構成。200名を超えるエンジニアがOSSの普及促進に取り組んでいる。

 オープンソース開発センタの取り組みは、システムのすべてをOSSで実現する「フルオープンソース」が基本。オペレーティングシステム(OS)であるLinuxから、OSSミドルウェアのPostgreSQL、Apache、Tomcatまで、フルオープンソースのソフトウェアスタックを活用することが前提となっている。

 「約50名で構成される評価・検証チームと、約150名で構成されるSIチームが一緒になり、毎年少しずつ規模の大きなシステムをOSSで構築することに挑戦しています。2つのチームが連携しながら少しずつ難しいシステム構築に挑戦し、うまく仕組みを作っていくことで経験を積み重ね、ノウハウを蓄積しています」と話すのは、NTTデータ 執行役員 基盤システム事業本部長である山田伸一氏だ。

 NTTデータがOSS分野に注目したのには、3つの理由がある。山田氏は、「高尚な理由と低レベルの理由、そして中間レベルの理由です」と話す。

 まず高尚な理由は、「ハードウェアをはじめ、さまざまなITリソースがコモディティ化していく中で、社会インフラとして誰もが必要とする(よく使われる)ソフトウェアもコモディティ化すればいいと思っていた」こと。低レベルの理由は、「タダ(無料)のソフトウェアが使えるといいなと思った」こと。そして中間のレベルの理由とは、「OSSを活用することで、自社の技術者のスキルを向上できるのではないかと考えていた」ことだ。

 「そのほかにも、商用のソフトウェアを使用していて、その提供ベンダーから“このソフトウェアのサポートは終了です”と言われると、仕方なくお金を払ってバージョンアップをしなければならないという経験も何度もありました」と山田氏は言う。

 このような経験から山田氏は、「OSSを有効に活用することで、ムダな仕事やムダな投資をなくすことができるのではないか?」と考えたという。

OSS活用に足りない機能は独自に作る

 NTTデータでは、オープンソースソフトウェアの運用管理ツール「Hinemos」やPostgreSQLに高速で高精度な全文検索機能を提供するソフトウェア「Ludia」、複数のPostgreSQLサーバをひとつのデータベースとして仮想化し、並列分散動作させるソフトウェア「PostgresForest」など、OSS関連ソフトウェアを独自に開発・提供している。

 これらのソフトウェアを開発するに至った経緯を山田氏は、次のように語る。

 「OSSの利用を始めた当時、既存の仕組みだけでは足りない機能がありました。たとえば、OSSを使用したシステムで障害が発生した場合、それを解析する仕組みがありませんでした。そこで、VAリナックスと共同で“ミニカーネルダンプ”を開発し、オープンソースとして2004年10月に公開したのです」

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