エンタープライズ分野において今やOSSでダメという弱点は見あたらない--NTTデータ - (page 2)

山下竜大(編集部)

2007-03-12 08:05

 また当時は、運用管理ツールもなかったので、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「平成16年度オープンソースソフトウェア活用基盤整備事業の委託(分散ファシリティ統合マネージャの開発)」を受けて開発したのがHinemosだった。

 そのほか、PostgreSQL関連のプロジェクトも、PostgreSQL単体ではエンタープライズ分野における拡張性が不足していたので、クラスタリングなどの必要な仕組みを新たに開発し、エンタープライズ分野におけるOSSの適応領域を拡大することを目指した。

 OSSでフルオープンソースソリューションを実現するための取り組みをNTTデータでは、Prossioneと呼ばれるプロジェクトにより推進している。このプロジェクトにより同社は、OSS環境のスタック整備とユーザー環境における実績の蓄積を目指している。

 山田氏は、「スタックの整備については一定の成果を上げており、必要なアプリケーションのかなりの部分で使えるレベルに来ています。後は、とにかくこれらのツールを使って実績を積み重ねていくことです。実際の運用の中から、次に必要なモノが見えてくるので、そこをまた解決するという繰り返しが重要です」と話している。

 実績面では、たとえばクレディセゾンの事例がある。クレディセゾンでは、会員向けの新サービス提供へ向けたNetアンサーシステムの再構築が課題となっていた。

 「ハード的にもソフト的にも拡張性が限界に近づいており、スピーディーに新サービスを提供するための機能追加や業務代行への柔軟な対応が困難な状況にありました。そこで、経済性、スピード、柔軟な拡張性を求められることからもOSS活用が検討されました」(山田氏)

 外部要件によって制約があるミドルウェア以外は全てOSSを採用し、Apache、Tomcat、LinuxによるOSSプラットフォームに、データベースにPostgreSQL、負荷分散にheartbeatという組み合わせで実現されている。

 山田氏は、「大きな冒険をしたという感覚はありません。ほかにもフルOSS環境で実現したエンタープライズ分野における数多くの実績があります。また、阪神高速道路のように、一部に商用ソフトを用いたもののミッションクリティカルな基幹系システム(会計システム)をOSS環境で実現した(Apache、Tomcat、LinuxによるOSSプラットフォームにOracle Databaseという組み合わせで実現)という点で、大きな意味を持つ実績もあります」と話している。

今やOSSでダメという弱点は見あたらない

 OSS環境はまだまだ発展途上であり、いわゆる商用パッケージアプリケーションは、Windowsなどの商用OS上で動作しているのが一般的だ。しかし山田氏は、「逆に、OSSを利用すると“ここがダメ”という弱点はほとんど見あたらなくなってきました。OSSの有効性は使う側に“力”があれば、少ないコストで堅牢なシステムを実現できることです」と話す。

 同氏はまた、「トラブルがあってもすぐに対応できること。長期的に安定してサポートができること」などもメリットとして挙げている。

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