BCPの発動と同様に、いつBCPを解除するのか、またどの業務から再開するのかなどについても、あらかじめ判断基準を設けておく。パンデミック期には、政府からの広報も含め各種メディアから情報が提供される。そういった状況下で、自宅待機の社員が個人の判断で1人だけ出社しても組織として運営はできない。何の情報を、どのような基準で、誰が判断し、どのように周知させるかを明確にしておく。
業務を停止する場合、社員が自宅待機する場合や、在宅勤務といった形態をとることが考えられる。この場合の給与支払いの基準も、給与額の割合や支払い期間をあらかじめ検討すべきだろう。現在、こうしたケースの明確なガイドラインは作成されていないので、会社の方針として決めればよい。
例えば、2カ月間収入がない状況で社員が自宅待機を続けるのは一般的に厳しいが、スペイン風邪のように3年にも渡って何度も流行の波が発生することもある。財務的な手当ては他のインシデントの場合も予算化されているかもしれないが、パンデミックを想定した場合はその規模を考慮しなくてはならない。なお、取引先への請求や支払いについては、通常業務に関するBCP策定の中で考えるものとし、ここでは社員に対する予算のみを考えるものとする。
このポイントは、平常時のBCP行動計画に、パンデミックを想定して新たに追加すべき項目だ。内容はパンデミック期前(流行間期)とパンデミック期に大別される。パンデミック期前は、予防として感染防護具などを備蓄することや、海外赴任社員に注意を呼びかけることなどが必要となる。パンデミック期は、どうしても出勤しなければならない社員への感染を防ぐため、感染防護具の支給や薬の投与、公共以外の交通手段の確保または会社近辺の宿舎の確保といった対応について考える。これらを計画書としてまとめ、実際に運営する。
上記以外にもBCPの見直しが必要な部分はあるが、それは会社の業務内容や状況にあわせて適宜見直してほしい。また、パンデミック用のBCPを準備するアプローチもあるので会社にとって運用しやすい形をとれば良いだろう。
パンデミックにおいてもBCPの行動計画で重要なのは、安否確認や状況の把握、政府広報などの最新情報を正確に押さえることだ。BCP発動後の行動も、正確で最新の情報を基に行動しなくてはならない。海外で勤務している社員がいる場合は、赴任先におけるパンデミックの最新情報の確認も必要だ。情報ソースの確認は、いつの時点の情報であるかを常に留意して取り扱うよう心がけたい。
次回は、情報システム災害対策(IT-DR)の具体的な見直しポイントについて検証する。
小林啓宣(こばやし はるひさ)
ストレージベンダーにおいてバックアップシステム/災害対策の構築、情報保護に関するコンサルティングやBCP策定のプロジェクトを経験後、2005年にシマンテックに入社。現在はグローバルコンサルティングサービス本部 リードプリンシパルとして同様のプロジェクトを担当すると共に、セキュリティ監査も実施する。CBCP、CISA、PMP、事業継続推進機構(BCAO)会員 BIA研究会所属。
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