日本オラクルは9月5日、「Oracle Fusion Middleware」の最新コンポーネントとして、インメモリ・データグリッド製品「Oracle Coherence 3.3」(オラクル・コヒーレンス 3.3)を9月11日より提供開始すると発表した。
「Coherence」は、2007年6月にOracleが買収した、米国マサチューセッツ州に本社を置くTangosolの製品。メモリリソースを有効活用して、ミドルウェア層にデータグリッド(共有メモリ領域)を構成し、特にトランザクション処理の高速処理、高可用性、高信頼性が求められるシステムを補強する役割を果たす。ノード追加によってメモリ領域を拡張し、将来的なトランザクションデータの増加にも対応可能という。
Oracle Coherence 3.3では、Oracle Application ServerやOracle TopLinkといった「Oracle Fusion Middleware」製品との連携が強化されているほか、タイムアウト設定付き分散タスク処理とそのスケジューリングが可能な「Deterministic Request Execution」機能の搭載、ハイパフォーマンス・パケット・バンドリング、動的フロー制御などの自己調節型通信機能の追加、マルチコアCPUのサポート強化などが行われている。また、基本的にJava/J2EEアプリケーションでの利用を想定して設計されているが、Java SEバージョン6、.NET Frameworkへの対応も行われている。
Oracle Coherenceは「Standard Edition」「Enterprise Edition」「Grid Edition」の3種類のパッケージにより提供される。Standard Editionはシンプルなキャッシュ機能が必要とされる小規模アプリケーション向け。Enterprise Editionは、トランザクション処理、パラレル処理を行う必要がある中規模から大規模のアプリケーション向け。Grid Editionは、企業全体で共有されるデータサービスプラットフォーム、リアルタイムクライアント向けとされている。
プロセッサあたりの価格は、Standard Editionが52万5000円より。Enterprise Editionが131万2500円より。Grid Editionが262万5000円より。なお、9月11日より、評価版が同社ウェブサイトで入手可能。
日本オラクルでは、早期よりTangosolを取り扱っていた日本インサイトテクノロジーとのパートナーシップ契約を結び、主に金融、通信領域、ネットビジネス領域といったアプリケーションの高速化や高可用性が求められる分野をターゲットとした販売を行っていく。また、パートナー向けの技術セミナーを開催し、Coherenceの普及に努める。