マイクロソフトは12月8日、安全なアプリケーションを開発するための施策「開発者セキュリティ」を開始した。同社が進めるTrustworthy Computingを強化していく。
SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティングなどアプリケーションに対する攻撃が増加しており、マイクロソフトが始めた開発者セキュリティは、このような脅威に対してアプリケーションの開発段階からセキュリティを向上させることを狙っている。

- 「SDLで脆弱性を削減できた」Rick Samona氏
開発者セキュリティの具体的施策は、(1)開発プロセス「セキュリティ開発ライフサイクル」(Security Development Lifecycle、SDL)に関する情報共有、(2)ウェブサイトでの包括的な情報提供、(3)「Developer Security Day」の開催--の3つからなる。
(1)では、SDLに関するノウハウや情報を開発者と共有する。SDLは、マイクロソフトが社内で導入している、アプリケーションの開発プロセスであり、開発の各段階でセキュリティに重点を置いた開発活動と、その成果物から構成されている。
米MicrosoftのアプリケーションプラットフォームチームのRick Samona氏によれば「Windows Server 2003は、SDLで開発した。開発終了後455日の段階で、脆弱性の報告数は17件。SDL導入以前に開発された、Windows 2000 Serverの脆弱性は55件もあった。SDL導入で脆弱性を大幅に削減できた」と説明し、SDLのメリットを強調している。Windows Server 2003以後、同社はすべての製品開発にSDLを適応しているという。

- 「安全なアプリケーション開発に自信があるのは5%」北川裕康氏
(2)では、MSDNオンライン上のセキュリティデベロッパーセンターを開発者セキュリティのウェブサイトに改装して、情報やツールを提供していく。同サイトでは、SDLに関する情報、ホワイトペーパーが掲載されるとともに、オンラインでのトレーニングやセミナーも開催していく。また12月15日から出荷開始となる「Visual Studio 2005」の新機能に関する情報なども提供していくとしている。
(3)のDeveloper Security Dayは2006年3月2日に東京都で開催。開発者を対象にしたセキュリティに関するトレーニングを提供する。
デベロッパービジネス本部で本部長を務める北川裕康氏は「マイクロソフトの調べで、開発者のうち安全なアプリケーション開発で必要な知識に自信があると答えたのは、わずか5%」と説明している。米国で36%、ブラジルで26%、ドイツで27%の開発者が自信があると答えていることと比較すると、日本の開発者のセキュリティ認識が低いことがわかる。

- 「開発者をサポートするツールが必要だ」新井悠氏
またセキュリティベンダーであるラックの調査(2004年4月〜2005年3月)によれば、「総計として日本のウェブアプリケーションの7割に欠陥が存在している」(ラックのセキュリティプランニングサービス部の新井悠氏)という。同調査では、ウェブアプリケーションの7割弱がクロスサイトスクリプティング、4割弱がSQLインジェクションの脆弱性があることが判明している。
新井氏は「アプリケーションのセキュリティを向上させるための対策として、安全なソフトを提供できる開発者の育成が必要」と説明。「人間が介在するために、安全なソフトの“決定版”は存在しない。人間によるソフトの改修が根本的な対策である」としている。
また「開発者はセキュリティに関する情報を得てはいるが、ほとんどが英語によるものであり、実際に目を通す時間がない」(新井氏)。そのためには開発者をサポートするツールを利用する必要があると主張している。
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