ITホールディングスグループのインテック・ネットコアは11月5日、IPv4アドレス枯渇に伴う問題に対応するための「IPアドレス枯渇対応アプリケーションチェックリスト」(アルファ版、PDF形式)を作成、無料で公開を開始した。
IPv4アドレスは2011年に在庫が枯渇すると予測されており、ネット関連団体などで構成されるIPv4アドレス枯渇タスクフォースは、「枯渇対応アクションプラン2009年10月版」(PDF形式)を公開している。アクションプランでは、ISPは2011年4月に枯渇対応サービスを提供することが推奨されている。実際、国内大手ISPのいくつかは、総務省の研究会で、アクションプランに沿って枯渇対応サービスを提供することを明言している。
ISPの枯渇対応サービスは、新規ユーザーから導入されることになっている。インテック・ネットコアは、既存ユーザーも含めたIPv4からIPv6への切り替えは容易に進まず、切り替えには5年以上かかると見込んでいる。5年以上という長期にわたる移行期間は、IPv6やISP内に設置されるアドレス変換装置(Large Scale NAT:LSN)、トランスレータ(IPv4とIPv6を相互変換する装置)などが複雑に相互接続した“まだらなネットワーク”(まだらネット)になるだろうと予測している。
そうした状況が予測される一方で、アプリケーション開発者は、“インターネット=IPv4”という前提でネットワークアプリケーションを開発しているが、そうしたアプリケーションが枯渇後のまだらネットで動作する保証はない。1999年に「2000年問題」としてソフトウェア業界はアプリケーションのチェックを行ったが、IPアドレス枯渇問題も、そうした同様の活動が必要になるだろうと同社は説明している。
アドレス枯渇で動作しなくなるアプリケーションの例としては、UPnP(Universal Plug and Play)などのプロトコルが動作しない、ISPの状況次第でアプリケーションにおいてセッションが張れない、IPアドレスとユーザーなどを暗黙に関連付けているアプリケーションが意図通りに動作しない、利用プラットフォームやミドルウェアがIPv6に未対応なためにIPv6では動作しない、IPv4が直書きしているプログラムはIPv6では動作しない――などが想定されている。
今回インテック・ネットコアが作成したチェックリストは、ネットワークアプリケーションがまだらネットでも問題なく動作するように、アプリケーションの書法上の注意点をまとめたものになる。これから新規に開発するアプリケーションだけでなく、ネット上の既存アプリケーションも2011年の枯渇対応サービスに間に合わせる形で、チェックリストでチェックすれば、改修が容易になるとしている。
インテック・ネットコアは、IPv4アドレスの枯渇、IPv6への長期の移行期間で発生しうる問題の大きさや公共性を考慮して、今回のチェックリストを無料で一般公開することを決めたとしている。さまざまな関係者やアプリケーション開発者からの意見を集めて、チェックリストを充実させることで、枯渇問題への対応に貢献していきたいという。