Linuxディストリビューター最大手のRed Hatは米国時間4月10日、オープンソースソフトウェアを開発するJBossを買収することで、同社と契約したことを明らかにした。買収額は最低でも3億5000万ドルになる。これにより、Red Hatは製品の品揃えを拡充し、潜在的な成長力を高めることになる。
Red Hatは買収額の40%を現金で、残りを自社株で支払うほか、買収後の財務パフォーマンスに応じて、さらに7000万ドルを支払うことになる。この買収が完了するのは5月になるとみられているが、Red Hatではこれが同社の売上増加につながるのは2007年になると述べている。
Red Hat最高経営責任者(CEO)のMatthew Szulik氏は、声明のなかで、両社のビジネスモデルや考えが「完全に一致している」と述べている。Red HatとJBossはいずれも、製品の利用料やサポート費用を顧客から徴収している。
「エンタープライズITのエコノミクスを、オープンソースの開発モデルが、顧客にとって有利な方向に変え続けている。われわれはプロプライエタリな開発(モデル)の足かせから解き放たれたソフトウェアの技術革新がもつ潜在力を、心から信じている」(Szulik氏)
JBossを買収することで、Red Hatは広く普及したオープンソースのJavaアプリケーションサーバを手に入れることになる。このソフトウェアはJavaで書かれたビジネスアプリケーションを動かすのに利用されている。JBossは、ポータルサーバやメッセージングサーバ、トランザクションサーバなど、オープンソースのJavaミドルウェアを集め、スイートにまとめようとしている。
Red Hatは現在、「Jonas」という競合するオープンソースのアプリケーションサーバを有料でサポートしている。Jonasを開発しているのは、フランスに拠点を置くObjectWebというグループだ。JBossの幹部は以前に、Red HatとJBossがJBossのアプリケーションを軸に提携を試みたことがあったが結局うまくいかなかったと述べたことがあった。
Red Hatによる買収が決まったことで、これまで数カ月にわたって続いてきたJBoss買収の噂に終止符が打たれることになった。JBossは過去2年間で急激な成長を遂げており、買収の可能性が取りざたされていた。
2週間前には、JBossのCEOであるMarc Fleury氏が、同社の好調な財務状況を挙げながら、次のステップは「おそらく株式公開か、適切なM&Aになるだろう」と述べていた。
オープンソース関連の新興企業やそれらの企業に出資する投資家が増えているが、彼らにとってこの3億5000万ドルという買収額はオープンソースのビジネスモデルの正しさを証明するものとなる。また、JBossは2004年に1000万ドルのベンチャー資金を調達したものの、運用資金のほぼすべてを自社でまかなっている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ