不況下でものを売るための5つの戦略

文:Christina Salerno(Special to BNET) 翻訳校正:石橋啓一郎

2009-08-25 17:03

 不景気の最中には、最高の営業のプロでも契約を結ぶことは難しい。低迷時には、企業は素早く投資利益率を向上させなくてはならないという圧力にさらされ、かつてはお得意様だった顧客がより安価な競合他社に目を向けるため、役員たちは裁量的な支出を抑えようとする。それでも、一部の企業は新たな契約を獲得しており、あるいは少なくとも、必ず起こる反発に備えて新たな販路の準備を進めている。HR Chally Groupの会長兼最高経営責任者(CEO)のHoward Stevens氏と営業トレーニング会社Asherの会長兼CEOのJohn Asher氏は、IBMやその他の企業の成功例を引きながら、不景気の中で営業を成功させるための5つの方法について語ってくれた。

1.製品の価値を下げない

 1973年の景気後退の折には、競合他社がパニックを起こす中、IBMは目立った動きを見せた。値段を上げたのだ。IBMがこの一歩を踏み出したのは、「IBM製品を購入してクビになった人はいない」というマーケティングキャッチフレーズを採用してからだった。Stevens氏は、「多くの人は、困難な時期には特別奉仕や値下げをする必要があると考える」と話す。しかし、それは製品の価値を下げることにつながり、引いては営業スタッフの評判も下げてしまう。Stevens氏は、価格を大きく引き下げると、顧客はこれまでの定価では払いすぎていたのだと思ったり、その製品がこんなに安いのは何かまずいことがあるからだと考え始めてしまうという。値段を下げる代わりに、購入者に支払い額に対してより多くの価値を得ていると感じさせるため、(保証の延長や追加の技術サポートなどの)追加的なサービスを提供することを検討した方がいい。

2.落ち着いてソリューションを絞り込むこと

 不景気の時期に営業スタッフが犯す最悪の間違いの1つは、パニックに陥ることだとStevens氏は言う。売り込みに積極的すぎる、あるいはがっつきすぎる営業スタッフは、ただでさえ自分の会社(そして自分の地位)について心配している潜在顧客を、余計に恐れさせてしまう。ヒステリーを起こすのではなく、落ち着いた、絞り込まれたソリューションを提案すべきだ。「低迷している時期には、みな可能性や実入りの大きさよりも、安心や安全のことを気にかけるものだ」とStevens氏は述べている。営業スタッフは、潜在顧客が直面している困難や脅威を理解するため背景の調査を行い、それらの脅威を最小化する方法を中心に売り込みの口上を準備すべきだ。

3.営業の対象を減らして集中し、接触回数を増やす

 Asher氏は、同氏の会社の調査によれば、契約を結ぶには平均12回の連絡が必要だと話している(これには電子メール、音声メール、対面での打ち合わせ、電話での会話が含まれる)。同氏は、「この数は不景気の時には増える」と述べている。困難な時期には、金融逼迫や予算削減などが原因で意志決定プロセスに長い時間がかかるといった要因によって、契約を結ぶのに16回もの連絡が必要になる。不況の時には、営業スタッフはより少数の潜在顧客に努力を集中すべきだ。「平均的な営業マンは、50件の見込み客を持ち、それぞれに少ししか注意を払わず、3回連絡を取ると諦める」とAsher氏は言う。「優秀な営業マンは、その中で上位の10件の見込み客を選び、15回か16回連絡を取る」

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