Salesforce.comの最高経営責任者(CEO)Marc Benioff氏は、イノベーションの観点からみると消費者向け技術に対して後れを取っているとして、エンタープライズ技術に苦言を呈した。
同氏は英国時間9月8日、ロンドンで開催されたカンファレンス「Cloudforce 2010」の場でZDNet UKの取材に応じ、「Facebook」や「Twitter」など人気の高いソーシャルネットワーキングツールの例を挙げ、比較的歴史の長いハイテク企業以上にこれらのツールが人々の働き方に影響を与えていると指摘した。Salesforce.comはこのカンファレンスで、独自のソーシャルネットワーキングツール「Chatter」の最新版を披露している。
「現実問題として、この業界は変化しており、変化しない企業は置いていかれるだろう」とBenioff氏は語った。「IBMは今もメインフレーム機を販売しており、Microsoftは変わらず『Windows』ソフトウェアを販売しているが、両社はイノベーションを先導しておらず、新たな市場も生み出していない。企業は、先進的であるか、利益を生み出す独占状態を守り抜くかのどちらかになっている」
Benioff氏のこうした発言は、Cloudforce 2010における同氏の基調講演のテーマとも通じるものだ。この基調講演は、Salesforce.comによるクラウドベースの顧客関係管理(CRM)ソフトウェアのユーザーを対象として行われた。
一部のエンタープライズ技術アプリケーションや企業は、「コンピュータ歴史博物館に非常に近いものになっている」と、Benioff氏は聴衆に向けて語った。「消費者や大学を出たばかりの若者は企業に来てこう言うだろう。『この緑の画面は何ですか? この青の画面は何ですか? あなたたちはFacebookを知らないのですか?』と」
このカンファレンスで、Salesforce.comは「Chatter Mobile」を発表した。これによりユーザーは、スマートフォンなどのモバイル機器から自分のChatterアカウントに接続できるようになる。このモバイルアプリは、6月にChatterがリリースされてから約2カ月後の登場となった。Chatterは、Salesforce.comのソフトウェアにソーシャルネットワーキングコンポーネントを追加するものだ。
顧客はChatter Mobileを用いることで、モバイル機器を介したChatterのフィードの確認や同僚宛ての現在状況の投稿、オンラインでの共同作業が可能になると、Salesforce.comで製品マーケティング担当バイスプレジデントを務めるKraig Svensrud氏は説明した。さらに、写真の共有機能が新たに加わるほか、「iPad」および「iPhone」のタッチ技術により、フリック操作でドキュメントを開くといったことも可能だと同氏は述べた。
Chatter MobileはiPhone、iPad、「BlackBerry」向けにリリースされる予定で、2010年内には新型「iPod touch」にも対応する。また、「Android」搭載機器向けバージョンは2011年前半にリリースが予定されている。Salesforce.comによると、「Salesforce CRM」および「Force.com」のユーザーライセンスを持つ企業はChatter Mobileを無償で利用できるという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。